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タクラマカン砂漠に自生する「管花肉ジュヨウ(カンカ)」が含有する新規有効成分「カンカノシド」に、抗酸化作用や血管拡張作用があることが、国立京都国際会館で開かれた「第25回天然物化学国際会議」で報告された。カンカノシドの機能や構造は、京都薬科大学・吉川雅之教授と、近畿大学薬学部・村岡修教授の共同研究により明らかにされたもの。今後は近大薬学総合研究所と、村岡氏らが設立した近大発ベンチャー企業「ダイアベティム」(大阪市中央区、社長多屋弘之氏)を中心に、カンカ含有機能性食品の開発や商品化が進められる。
カンカは、紅柳(タマリクス)の根部に寄生する植物で、漢方調剤用の医薬品肉ジュヨウ(Cistanche Salsa G. Beck)と同じく、ハマウツボ科肉ジュヨウ属に属する。中国の新彊ウイグル自治区タクラマカン砂漠やパキスタンに分布し、これまで強壮・強精作用、免疫増強作用、アンチエイジング作用などが知られており、インポテンツ、不妊症、アルツハイマー病などの治療に用いられてきた。収穫期は、春と秋の2回で、寄生している紅柳を傷つけず、カンカだけを砂中から採取する。
村岡、 吉川教授らの研究では、カンカのメタノールエキスに活性酸素の消去作用や血管拡張作用が見出された。さらに、数種の新規配糖体「カンカノシドA0G」「カンカノース」「カンカノール」等が単離され、それらの化学構造も明らかになった。
カンカ含有成分と機能の関連について検討した結果、新規成分のカンカノシド及び既知成分の「アクテオシド」「エキナコシド」には、in vitroで活性酸素の消去作用が確認された。さらにカンカノシドは、特徴のある血管拡張作用を有することも明らかにされた。
これらの結果について村岡氏は、[1]カンカは少なくとも3成分以上の相乗効果による強い抗酸化作用を示し、老化に伴う様々な活性酸素障害の改善が期待される[2]カンカノシドの血管拡張作用は、高血圧症への有用性を示唆すると共に、昇圧作用を伴わない滋養強壮作用の有効成分と考えられる――とした。