日本医療機能評価機構がまとめた2005年の医療事故情報収集等事業年報によると、昨年1年間に報告されたヒヤリハット事例は18万2898件に上った。発生要因別では「確認不十分」というケースが全体の約4分の1と多く、発生場面では「処方・与薬」が約4分の1を占め、依然として薬剤に関するヒヤリハット事例が多いことも明らかになった。
報告をみると、発生月では7月が最も多く、1万7379件(構成比9.5%)であった。以下、5月が1万7208件(9.4%)、6月が1万6717件(9.1%)、4月が1万6614件(9.1%)と続いている。年度が切り替わってからの数カ月間が“要注意期間”と言えそうだ。
ヒヤリハットが発生する時間帯として最も多かったのは、午前10時台で2万3649件(12.9%)。さらに8時台が2万1196件(11.6%)、午後1時台が1万8332件(10.0%)となっている。
発生場所としては病室が最も多く、10万2165件(55.9%)と報告の半数以上に上っている。そのほかナースステーションが1万9011件(10.4%)、病棟その他の場所7769件(4.2%)、薬局・輸血部は6096件(3.3%)であった。
発生要因(複数回答)では、「確認が不十分」が11万3052件で、全体の26.1%を占め、「観察が不十分」5万7483件(13.3%)、「判断に誤りがあった」3万3494件(7.7%)、「知識が不足、知識に誤りがあった」1万2504件(2.9%)と続いている。
ヒヤリハットの影響度では、「間違いがあったが患者に影響はなかった」が12万8744件で、全体の70.4%を占め、「実施前に発見され、患者への影響が小さいもの(処置不要)」が2万0104件(11.0%)であった。その一方で「患者への影響が中等度のもの(処置必要)」が6104件(3.3%)、「患者への影響が大きいもの(生命に影響しうる)」も1760件(1.0%)報告された。
また、ヒヤリハットが発生した場面としては、「処方・与薬」が4万7535件(26.0%)で最も多く、「ドレインチューブ類の使用・管理」が2万9654件(16.2%)、「その他の療養生活の場面」2万3607件(12.9%)、「療養上の世話」1万8976件(10.4%)などとなっている。
◇薬剤師は3.5%◇
当事者の職種(複数回答)では、看護師が最も多く14万7094件(76.8%)と、全体の約4分の3を占めている。次いで医師8290件(4.3%)、薬剤師6627件(3.5%)など。
さらに、当事者の部署配属年数をみると、やはり「0年」が最も多く、4万5317件で全体の24.8%。さらに「1年」が2万9613件(16.2%)、「2年」が2万2186件(12.1%)、「3年」が1万5425件(8.4%)、「4年」が1万0118件(5.5%)の順となっており、経験年数の増加と共に、報告件数が減少している。