調剤機器メーカーのユヤマは、錠剤やカプセル剤をPTPシートに入ったまま、全自動で患者ごとに払い出せる装置を開発した。シートの計数・払出し機能に加え、1錠、1カプセル単位まで端数を自動的に切断できる機構も搭載した。160~210品目のセットによって、計数調剤業務の8~9割を自動化できるという。年末頃には発売する計画だ。
シート単位だけでなく、1錠、1カプセル単位でも切断し払い出せるため、薬剤師の手で端数を後から取り出したり、切ったりする必要がない。全国の35薬局を対象に、剤形・包装別調剤比率や、1品目当たりの錠剤台収納枚数などを調査。各品目ごとにシートサイズを測定してデータベース化し、独自の切断機構を搭載することで、計数調剤の全自動化という画期的な機能を実現させた。
1ユニット当たり160~210品目のセットが可能。600~700品目のPTP錠剤を採用し、1日に約250~300枚の処方せんを応需する保険薬局においても、計数調剤業務の8~9割はこれで自動化できる。
採用品目や処方せん枚数がさらに多い大型の保険薬局や病院でも、ユニットを増やせばこのカバー率を保持できる。ユニットは5台まで連結でき、最大1050品目の搭載が可能だ。よく処方される薬剤を複数のカセットに大量にセットできる「親子カセット機能」もある。
シートは、患者1人ごとに専用トレイで払い出される。トレイ内部は6分割され、薬品種や用法ごとに分割払い出しするなど、運用に合わせて活用できる。トレイは八つまでストックされるため、薬剤師がつきっきりになる必要がない。払い出しトレイを間違わないよう、液晶ディスプレイに患者名を表示する機能も付いている。
ユヤマは「調剤業務の大半を占めると言われる、最後まで自動化が図れていなかった作業の省力化を実現できた」としている。平均的な保険薬局ではピーク時に3・2人の薬剤師が担当していた計数調剤業務が、1人の担当で済むようになるという。年間約300万円のコスト削減効果があるほか、浮いた人員を他の業務に振り向けられる。
装置本体のサイズは幅90cm、奥行63cm、高さ198cm(トレイ供給ユニット・排出ユニットは別)