厚生労働省健康局は、「性感染症に関する指定感染症予防指針」の一部を改正する告示案をまとめた。STD予防指針が策定後5年を経過したことから、見直しを行うもの。性器クラミジア感染症など四つのSTDについて、発生動向調査、検査体制、相談体制などの充実を図ることが改正の主な柱となる。
STD予防指針は、「性器クラミジア感染症」「性器ヘルペスウイルス感染症」「尖形コンジローマ」「梅毒・淋菌感染症」を対象とするもの。?発生動向調査?発生の予防及びまん延防止?検査の推奨と検査機会の提供?対象者の実情に応じた対策の推進――などについて改正がなされる。
改正案では、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の4感染症について、発生動向が的確に反映できるように指定届出機関の指定基準策定に努め、発生動向調査の改善を図る方針を示している。
発生予防や蔓延防止のため、STD罹患率を減少傾向に導くための施策目標を設定し、正しい知識の普及・啓発活動に加え、感染症予防を支援する環境づくりを中心とした予防対策が重要と指摘。その上でコンドームについて、STDの原因となる直接接触を妨げる物理的障壁としての効果を明らかにし、国・都道府県等にコンドームの性感染症予防効果に関する情報を提供していくことを求めていく。
検査に関しては、STDに感染している可能性のある人に推奨することが重要で、必要に応じて医療に結びつける体制を整えることを基本に、都道府県は様々な機会を活用して、普及啓発に努めることが必要としている。
さらに、STDとして最も頻度の高い性器クラミジア感染症は、男性でも症状が軽微であることが多く、感染防止のための注意を怠りやすい特性があるため、蔓延防止に向けた啓発が特に重要とした。また、都道府県等に対し、STDについての意見交換、情報収集の円滑な推進を求めると共に、蔓延防止を図るため、医師や保健師などを相談・指導に携わる人材として養成・確保していくことも求めている。
なお、厚労省は9月13日を期限として、告示案に対するパブリックコメントを募集しており、その結果を踏まえて9月中旬に告示を行う予定である。