OSCEのミニトライアル結果を報告 |
日本薬学会の主催による「第3回薬学教育フォーラム2006」が11日に東京港区の共立薬科大学で開かれ、昨年度に行われたOSCEのミニトライアル結果が報告された。トライアルにより、患者・顧客対応(接遇)や情報提供のあり方について、手技の統一を図る必要性が指摘された。学生からの評価は「合格すれば安心して実習に行ける」など、歓迎する声が大半であった。今後の課題としてはステーション数や評価項目の再検討、評価者教育などが必要とされた。
初めに熊本大学医学薬学研究部の入江徹美氏から、薬学共用試験の実施に向けた今後の予定が示された。CBTに関しては、今年度に第1回トライアルが行われる計画。OSCEは昨年度に2回のトライアルが実施されており、今年度は第1期全国トライアルとして、10校程度が参加して実施されていることが報告された。
東京薬科大学の山田安彦氏、武庫川女子大学の松山賢治氏からは、日本薬学会の主催により、両校で実施された昨年度のOSCEミニトライアルについて、状況や結果が報告された。
東京薬科大学のミニトライアルには、受験生30人、スタッフ約110人が参加し、同学の医療薬学実務教育施設に6ステーションを設置して実施された。課題は、(1)患者・顧客対応(2)薬剤の調製(水剤・散剤)(3)調剤鑑査(4)無菌製剤(5)情報提供――の5領域であった。
実施後に各ステーションにおいて評価ポイントの低かった項目、同一学生に対する評価で不一致の多かった項目などを調査したところ、接遇・情報提供などで評価の不一致が目立った。接遇や情報提供は、調剤などと比較して手技が統一されていないことが、評価の分かれた要因であるとし、手技の統一が今後の検討課題として示された。
同様に評価者に対して、担当した領域の評価内容を尋ねたところ、やはり接遇と情報提供などで「問題あり」とする回答が多く、理由は「偏りが出そう」というものだった。
OSCEの必要性に対する学生の見方では、「必要」が97%と大半を占めた。必要だとした理由は、(1)自分の技術・態度を確認できる(2)合格すれば安心して実習に行ける(3)技術・態度を学ぶ動機付けになる――など、前向きな意見が目立った。学生からの評価結果を見て山田氏は、「OSCEが学生のためになることを改めて確認した」との認識を示した。