西間院長 |
改定作業が進められている「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」で、7月に承認された乳幼児喘息患者向け吸入ステロイド剤「パルミコート吸入液」(一般名ブデソニド)が、喘息長期管理のための薬剤として、推奨される方向にあるという。国立病院機構福岡病院の西間三馨院長が、8日に行われたアストラゼネカ主催のセミナーで明らかにしたもの。ただ日本では、患者サイドのステロイド剤に対する抵抗感が根強く、使用率も約8%(小児)と非常に低いのが現状。そのため西間氏は、薬理作用などの情報を十分に提供し、話し合いながら処方するよう求めた。
西間氏によると、小児気管支喘息治療の柱であるテオフィリン徐放製剤に関しては、特に1歳未満で痙攣の副作用が指摘されているため、ガイドライン(GL)を改定することになった。テオフィリンについては、生後6カ月未満の患者では喘息長期管理の対象から外れ、それ以上の患者にも「原則として推奨されない」と、乳児では治療上の位置づけが後退する形になるとしている。
今回、乳幼児向けにパルミコートが登場したため、長期管理に関する薬物プランについて、2歳未満の乳児では軽症持続型の追加治療、中等症と重症の持続型の初期治療に、同剤を盛り込む方向で検討されているとした。2歳から5歳の幼児では、軽症、中等症、重度の持続型に対する初期治療として、位置づける方向だという。
ただ西間氏は、入院率や死亡率の減少につながっているかに関しては、しっかりした検証が必要だと指摘した。今後の課題の一つとして「いつまで継続使用すればよいか」を挙げ、個人的見解と断りながら、「最少用量で3カ月発作がなければ中止する」ことを一つ目安として示した。
気管支拡張剤など他の吸入薬剤との併用については、「データを作っていかなければならない」と述べた。