薬事・食品衛生審議会薬事分科会は、治療抵抗性統合失調症の治療薬「クロザリル錠」(ノバルティスファーマ)を審議し、承認を了承した。このほかジルテックドライシロップ(ユーシービージャパン)、ミコンビ配合錠(日本ベーリンガーインゲルハイム)など今年1、2月開催の医薬品第一部会、第二部会承認による報告品目の新薬や効能追加なども了承した。併せて生物学的製剤基準の一部開催、希少疾病用医薬品の指定、日本薬局方の一部改正、生物由良原料基準の一部改正、ジクロフェナクナトリウムのスイッチOTCなども報告、了承された。
「クロザリル錠25mg、同錠100mg」(ノバルティスファーマが製造販売)の有効成分はクロザピン。治療抵抗性統合失調症を効能・効果とする新有効成分医薬品。1970年代に死亡例が出たため開発、承認が中断されていたが、患者モニタリング制度の導入など、サリドマイドに準ずる厳しい監視体制を承認条件として了承された。再審査期間は8年、原体、製剤とも劇薬に指定される予定。
報告品目
▽ジルテックドライシロップ1・25%、同錠5(申請者:ユーシービージャパン、一般名:セチリジン塩酸塩):小児への適用を追加。効能・効果はアレルギー性鼻炎、蕁麻疹等に伴うそう痒。
▽ノルディトロピンS注5mg、同10mg、ノルディトロピン・ノルディルレックス注5mg、同10mg、同15mg(ノボ ノルディスク ファーマ、ソマトロピン〈遺伝子組み換え〉):効能・効果として従来の骨端線閉鎖を伴わない下垂体性小人症などに、成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)を追加。
▽ストラテラカプセル5mg、同10mg、同25mg(日本イーライリリー、アトモセキセチン塩酸塩):効能・効果は小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)。添付文書では「使用上の注意」として、13歳以上で妊娠の可能性があることから「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」も記載された。
▽ミコンビ配合錠AP、同BP(日本ベーリンガーインゲルハイム、テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド):効能効果は高血圧症。胆汁排泄型持続性アンジンテンシンII受容体拮抗薬のテルミサルタンとサイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジドの配合剤。
▽アラミスト点鼻液27・5μg56噴霧用(グラクソ・スミスクライン、フルチカゾンフランカルボン酸エステル):効能・効果はアレルギー性鼻炎。従来1日2回であったものを1日1回投与に改良された。
▽リスパダールコンスタ筋注用25mg、同37・5mg、同50mg(ヤンセン ファーマ、リスペリドン):効能効果は統合失調症。持効性注射剤の新投与経路医薬品として承認された。
▽アピドラ注カート、同オプチクリック、同ソロスター、同100単位/mL(サノフィ・アベンティス、インスリン グルジリジン〈遺伝子組み換え〉):効能・効果はインスリン療法が適応となる糖尿病で、超速効型インスリンアナログ製剤。
▽ニフレック内用(味の素、医療用配合剤のため該当なし)、ガスモチン錠5mg、同2・5mg、ガスモチン散(大日本住友製薬、サモプリドクエン酸塩水和物):効能・効果として、それぞれ「バリウム注腸X線造影検査」「経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処理の補助」が追加された。いずれも「当日の絶食」で造影可能にすることが特徴。
▽ジェーピックV(大阪微生物病研究所、火葬細胞培養日本脳炎ワクチン):効能・効果は日本脳炎の予防。従来のようにマウス脳を原料に用いず、細胞培養法により製造された国内初の日本脳炎ワクチン。
▽ドキシル注20mg(ヤンセンファーマ、ドキソルビシン塩酸塩):効能・効果として「がん化学療法後に増悪した卵巣癌」を追加。
▽オラペネム小児用細粒10%(明治製菓、テビペネムピボキシル):カルバペネム系で初の経口投与製剤。肺炎、中耳炎、副鼻腔炎を適応症とする。
▽タイケルブ錠(グラクソ・スミスクライン、ラパチニブトシル塩酸水和物):チロシンキナーゼ阻害作用を有する抗悪性腫瘍薬で、効能・効果はHER2過剰発現が確認された手術不能または再発乳癌。
▽クラビット錠250mg、同500mg、クラビット細粒10%(第一三共、レボフロキサシン水和物):フルオロキノロン系抗菌薬で、耐性菌が作られにくい血中濃度まで上げるよう従来品に比べ高用量化。通常1日1回経口投与する。