厚生労働省が行った後発品の使用状況調査の結果、後発品への変更可能な処方せんは3分の2を占めたにもかかわらず、実際に変更したのは6・1%にとどまり、改めて後発品使用が“進んでいない”実態が浮き彫りとなった。使用に「あまり積極的でない」薬局も3割を超え、薬剤師の消極的な姿勢も明らかになった。また、処方せんの9割以上を変更不可とし、組織ぐるみで変更不可の処方せんを発行している医療機関も24・0%に上った。
調査分析は、保険薬局2000施設中944施設、診療所2000施設中733施設、病院1000施設中326施設、医師431人、患者1717人の回答をもとに行った。調査実施期間は、昨年11月から今年2月までの3カ月間。
調査によると、後発品への変更可能な処方せんは65・6%を占めていたが、このうち1品目でも先発品を後発品に変更した割合は6・1%と低く、「変更しなかった」が74・8%を占めた。後発品の使用促進策の一環として、処方せん様式の再変更が行われたものの、使用促進は期待ほどに進んでいない実態が浮き彫りとなった形だ。
また、後発品使用に対する薬局の対応も鈍く、「あまり積極的には取り組んでいない」が最も多い33・5%を占めた。「積極的に調剤している」は11・8%にとどまった。
積極的に取り組んでいない理由(複数回答)は、▽品質に疑問がある▽近隣の医療機関が使用に消極的▽効果に疑問▽安定供給体制が不備――が最も多く、40・2%を占めた。効果に疑問があるとしたのは36・7%だった。
使用促進にブレーキをかけている要因の一つとして、9割以上の処方せんを「後発医薬品への変更不可」とする医療機関が24・0%と、4分の1に達することも分かった。
ただ、1年前と比較した外来診療における後発品処方の変化では、多くなったとした医師は、診療所で46・3%、病院で47・1%を占め、後発品処方は少しずつ増えていることが予測されている。
また、「変更不可」欄に署名した処方せんを発行したことのある医師は、診療所42・2%、病院34・0%を占めた。署名した理由としては、診療所・病院の医師ともに「品質が不安」が最も多く、「先発品を長く使用し信頼」「患者から強い要望があった」と続いた。
また、外来診療で患者から後発品の要望があっても、基本的に処方しない医師は14・7%を占めた。その理由としては、▽品質への疑問▽効果への疑問▽副作用への不安――などが多かった。
今回から新たに加わった患者調査では、後発品を知っている患者は72・3%を占めた。年齢階級別にみると、30039歳をピークに、年齢層が上がるにつれて認知度は低くなる傾向にあった。
このうち、医師や薬剤師から後発品の説明を受けたことがある患者は61・2%で、薬剤師から説明を受けた患者が68・1%、医師と薬剤師の両方から説明を受けた患者が20・2%を占めるなど、薬剤師が後発品の情報提供者の役割を果たしている実態も明らかになった。