医薬品安全使用実践推進検討会は17日、「医薬品安全性情報活用実践事例の収集」報告書などについて意見交換した。この中で、事例収集とは別に行われたベースライン調査から、安全性情報が処方医などに届けられている率が約3割程度にとどまるなど、末端まで情報が行きわたっていないことが分かった。
同事業は、予測・予防型の安全対策の実践推進の観点から、医療現場に届いた安全性情報の有効活用を推進し、既知の副作用回避を図ることを目的としたもの。
検討会では事例収集に先立って、安全性情報の活用実態について、ベースライン調査を行った。対象としたのは全国の医療機関。
それによると、安全性情報の入手経路は製薬企業MRからが最多で65%、DSU(医薬品安全対策情報)から42%、次いで製薬企業からのダイレクトメール27%、医薬品・医療機器等安全性情報17%、医薬品卸から14%、医薬品医療機器総合機構ホームページ9%、総合機構のプッシュメール7%だった。
MRからの情報入手が最も多かったが、施設規模で違いがあり、大規模施設は77%だったのに対し、小規模施設は36%と低くかった。反対に、ダイレクトメールの活用は、大規模施設16%、小規模施設48%と小規模施設の活用度が高い傾向が見られた。
院内への安全性情報の伝達については、不特定多数の医師を対象とした情報伝達は73%で実施されていたものの、処方医や患者を特定して行われる情報伝達は32%と低かった。
委員からは、「ベースライン調査から、処方医や病院の末端まで情報が届く率がこれほど低いとは驚いた。大きな問題だ」「電子カルテを導入したために、かえって混乱する事例もあるようだ。これは不十分な電子カルテを販売しているメーカー側にも問題がある」「収集した事例の活用方法も工夫すべき」などの意見が寄せられた。