藤本製薬は8日、多発性骨髄腫の治療薬としてサリドマイドの国内承認申請を行ったと発表した。同剤はオーファンドラッグに指定されており、迅速な審査がなされる。
6月に国内での治験を終えた。申請した同剤は、サリドマイド100mgを含有したカプセル剤で、既治療で効果不十分な場合に投与する薬剤として申請した。通常、成人に対し1日1回100mgを就寝前に経口投与するとし、増減は可能だが1日400mgを超えないこととしている。
同剤には胎児成長障害の副作用があり、日本の薬害の代表的な薬剤としても知られている。そのことから、同社は、市販後の使用と安全管理システムは、関係者の意見を聞きつつ確立する方針。
同社は、申請にあたり「当社の努力は必ず報われるものと信じ、1日も早く承認され、サリドマイドを必要とされる患者さんに本剤を提供いたしたいと考えている」としている。
日本骨髄腫患者の会は7月、「日本全国どこでも安心して命をつなぐサリドマイド治療を受けられるようにして欲しい」として早期承認を厚生労働省に要請していた。
サリドマイド薬害被害者団体「いしずえ」の間宮清事務局長は今回の申請を受け、被害再発防止のための薬剤の安全管理システムは「公の場で行政主導で検討されなければならない。国にはその義務がある」とコメントした。
同剤は、米国ではハンセン病の治療薬としてのほか、今年に入ってセルジーン社が多発性骨髄腫治療薬として承認を受けている。