一般薬の通信販売継続を求めているヤフーや楽天、日本オンラインドラッグ協会(JODA)などは、都内でフォーラムを開き、インターネット販売での安全策に関する業界ルール案を公表した。ルール案では、一般薬のネット販売で消費者等が抱く代表的な懸念事項を14項目挙げ、それぞれの事項に対してどのように業界として取り組んでいくのかを示した。また、楽天の三木谷浩史会長兼社長は、医薬品の通信販売継続を求める署名が72万人に達したことを明らかにした上で、「100万人は集めたい」と語った。
フォーラムに参加したネット業界の幹部
フォーラムには、販売事業者、消費者、弁護士などが参加した。その中で、業界ルール案については、JODA理事長の後藤玄利氏が説明。▽健康維持における一般薬の位置づけ▽薬局・店舗・専門家の果たすべき役割▽薬局・店舗・専門家の社会的な責任””を策定に当たっての基本方針とし、これに対応した代表的な想定懸念事項を14項目示した。
懸念事項の主なものとしては、▽使用者の情報や状態をどうやって把握するのか▽専門家の実在性をどのように確認するのか▽購入者の質問等に対しては誰がどのように対応するのか▽過剰購入、大量購入への対処策▽不適切販売を行う店への対策””など。
その中で、使用者の情報や状態を把握する方法として、[1]問診の前に購入者が使用者かどうか確認し、購入者と使用者が違う場合には、使用者の立場に立って答える旨、明示的に促す[2]使用者の年齢、性別の申告を義務づける[3]使用者の状態について、禁忌事項に該当するか否かチェックボックス等で項目別に申告を義務づける[4]禁忌事項への該当があれば、医薬品の注文自体を受け付けない[5]使用上の注意を明示し、読んで理解した旨の申告を義務づける””などを挙げている。
専門家の実在性確認では、「薬局・店舗のサイト上で、都道府県等への届出済であることを確認できるようにする」とし、「対応する専門家の情報も提示する」「公のサイト上でも届出済である旨を掲示し、実在性も併せて確認できるようにする」としている。専門家に関する情報については、実在性を担保するための情報例として、氏名・顔写真・資格情報などを挙げているほか、厚生労働省の資格検索システムとのリンクといった手法も例示している。
不適切販売を行う店への対策では、▽販売状況の見える化を図る▽各事業者等に通報窓口を設置、業界全体で通報内容を共有する▽複数機関で監視、調査活動を行う▽業界団体が自主的に調査し、不適切な店舗については当局へ通報する””などを掲げている。
後藤氏は、「厚労省の検討会でも対面販売の原則が盛んに言われているが、対面販売は手段であって目的ではない。目的はあくまでも、安全に消費者等が医薬品を服用できる環境を作るということだ」とし、「そのために、ネットは対面販売でなくてもしっかりとした安全性を確保することができるということを、業界ルールを示していくことで分かっていただきたい」と強調。「こうした安全策の上で、全ての国民に平等に医薬品が行き渡るという環境を作っていきたい」と述べた。