厚生労働省医薬食品局は2月26日、「医薬品・医療機器等安全性情報」(第255号)を公表した。抗リウマチ薬「エンブレル」(ワイス)で、ツベルクリン反応陰性でも活動性結核が認められることから、ツ反を警告欄や基本的な注意に,また急性腎不全やネフローゼ症候群の副作用報告が集積したことを受け、これらを重大な副作用に記載するよう添付文書の改訂を行い、関係者に注意を喚起した。
「エンブレル皮下注用25:、同皮下注用25:シリンジ0・5mL」[一般名:エタネルセプト(遺伝子組み換え)]は、2005年3月に発売され、年間約2万7000人に使用されている。
安全性情報では、添付文書警告欄に「ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告されている」との記載を追加すると共に、「重大な基本的注意」にも、同剤投与中は結核症状の発現に注意することを記載した。
また、直近3年間で企業から、同剤投与と因果関係が否定できない副作用として、急性腎不全やネフローゼ症候群が16例(うち死亡1例)の報告があったことから、重大な副作用に「急性腎不全」「ネフローゼ症候群」を追記したほか、「スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)」「中毒性表皮壊死症」「多形紅斑」「抗好中球細胞質抗体陽性血管炎」も重大な副作用とし、適切な処置を取るよう関係者に注意を喚起した。 腎細胞癌治療薬の「ネクサバール錠200:」(ソラフェニブトシル酸塩、バイエル薬品)は、08年4月に発売され、倫理的供給が行われていた昨年2月25日から12月17日までの10カ月の間に企業から、同剤投与と因果関係が否定できない副作用として急性肺障害、間質性肺炎が4例(うち死亡2例)報告された。
これを受けた添付文書改訂では、両副作用を「重要な基本的注意」「重大な副作用」に追記し、関係者に適切な処置を行うよう求めた。
「テモダールカプセル20:、同カプセル100:」(デモゾロミド、シェリング・プラウ)は、06年9月に発売され、年間3800人が使用している。直近2年間に企業から、同剤投与と因果関係が否定できない副作用として間質性肺炎2例(死亡例なし)が報告されたことを受け、間質性肺炎を「重大な副作用」として追記し、異常が認められた場合は,胸部X線検査等を実施、同剤投与を中止し,ニーモシスチス肺炎との鑑別診断を考慮して適切な処置を行うこととした。
リンパ腫治療薬「リツキサン注10:/mL」[リツキシマブ(遺伝子組み換え)、全薬工業)は,01年9月に発売され、年間約1万9000人が使用している。直近3年間に企業から、同剤投与と因果関係が否定できない副作用として進行性多巣性白質脳症が2例(うち死亡1例)が報告された。
添付文書改訂では、「汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少」および「感染症」「進行性多巣性白質脳症(PML)」を重大な副作用にそれぞれ追加した。