コンタクトレンズ(CL)は、日々のケアの必要がない1日使い捨てタイプ、ケアをしながらの2週間交換タイプ、そして従来型タイプというように、使用シーンで使い分ける生活スタイルが定着してきた感がある。ソフトレンズを中心に装用者人口も着実に増加を見せており、これに対応するケア用品も潤い成分を配合するなど高機能の製品が増え、ケア用品市場は活気を見せている。しかし、より簡単・簡便なケアを実現する高付加価値製品が次々に登場する一方で、不十分なケアによる目のトラブルも臨床現場では少なくないようだ。言うまでもなくCLは高度管理医療機器であり、安全装用にはレンズケースの管理を含めた適切なケア方法が欠かせない。
ロート製薬が昨年、全国のCLユーザーの女性2700人(16039歳)に行った調査で、初めてCLを使用した時期を聞いたところ、平均使用開始年齢は30代で19.7歳、20代で17.6歳、10代では15.3歳と使用開始年齢が低下していた。このうち10代の7.7%は小学生(12歳まで)からCLを使い始めている。使用のきっかけとしては「メガネはおしゃれに見えない」「コンタクトの方が機能的」「入学(高校や大学)を機会に見た目をよくしたかった」などの理由が挙げられた。
また使用しているCLのタイプとしては、主流は2週間交換タイプで、使用率は29.7%。職業別にみると、10代はソフトCLか2週間タイプが目立つ。OLは手軽な1日使い捨てタイプを支持する傾向で、また専業主婦は長く使えるハードを支持する人が多かった。
CLの普及と低年齢化に伴って、不十分なケアによる感染症などのトラブルも増えているようで、先月開かれた日本コンタクトレンズ学会(日本眼炎症学会・日本眼感染症学会との共催)でも、いくつか報告が見られている。CLの微生物汚染は装用中だけでなくCL保管中、すなわちレンズケース内で汚染する場合も見逃せないということで、レンズの洗浄・消毒だけでなく、レンズケースの洗浄・交換も重要だという意識をいかに高めていくかが求められた。また同学会では、感染対策の基本である手指洗浄の重要性についても指摘された。
不適切なレンズケアやCLの誤った使用などによりCLが汚染され、眼障害につながることは、これまで売り場ではあまりユーザーに訴求されていなかった。ピップトウキョウがこのほど都内で開いた「第85回藤信会秋の展示会」のカテゴリー別棚割提案の中では、ケア用品群の陳列ポイントはもちろんのこと、毎日のケアで注意したい点を売り場に反映させる提案が目を引いた。
この「コンタクトケア」コーナーのゾーニングは、ソフトCLのケアで主流となっているワンボトルのMPSを中心に据え、右側にハード・ソフト用のケア用品群、そして左側はドライアイグッズ、トラベルグッズ、爪切り・爪ブラシ、眼鏡グッズ、手洗い石けん、目洗い用品などで構成する「アイケア関連品」を組み合わせたのが特徴。
「コンタクトケア」コーナーのテーマは『10年後のあなたの瞳のために』とし、朝晩に何気なく行っているケアの重要性を改めて啓発する内容を盛り込んだ。ポイントの一つは「まず手洗い推進」ということ。簡便なケアが好まれる中で、見過ごしがちなレンズケースや手指の汚れに思わぬ感染の危険が潜んでいることを、細菌が付着して汚染されたレンズ表面の写真等を用いてアピール。怠ってしまいがちな手洗いを啓蒙するために、マイ爪切り、マイ石けん等も合わせて提案した。またケア用品の中でも、こすり洗いなどによりレンズをしっかり洗浄する意義等を啓蒙する提案も示された。