薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は26日、乳癌に対する新抗癌剤「タイケルブ」と、ニューキノロン系抗菌薬「クラビット」の高用量・新剤形の追加について審議し、承認を了承した。両製品とも薬事分科会に報告する。
「タイケルブ錠250mg」(グラクソ・スミスクラインが製造販売)の有効成分はラパチニブトシル酸塩水和物。適応は、HER2過剰発現を示す手術不能または再発乳癌。重篤な難治性乳癌への有用性が認められたことから優先審査の対象となった。欧米での承認要件と同様、カペシタビンとの併用が承認要件・用法となる。再審査期間は8年、原体・製剤ともに劇薬に指定される予定。
同剤は、2007年3月に米国で承認されて以来、昨年末までに世界65カ国で承認されている。07年3月に単剤での製造承認申請が行われたが、世界標準となっているカペシタビシンとの併用療法での申請に切り替えるなど、優先審査ではあったものの承認までに時間を要した。
「クラビット錠250mg、同錠500mg、同細粒10%」(第一三共が製造販売)の有効成分はレボフロキサシン水和物。ニューキノロン系抗菌薬で、従来の1日3回投与の少用量に加え、高用量品を加え1日1回投与を可能にするため、新用量・新剤形を追加した。審査期間は4年、原体・製剤ともに毒薬、劇薬に該当しない。
高用量等の追加に関しては、有効血中濃度を超えないと耐性菌が出現しやすいことに加え、血中濃度を一気に高めて起炎菌を叩くことが効果的といった学会報告などが背景にある。海外でも1日1回、500mg投与の事例が多いが、さらに高用量の750mg錠も認められている。750mg錠の追加も視野に入れ、当面は500mgの使用・副作用状況を収集していく。
ロイスタチンに新用量
また第二部会では、「ロイスタチン注8mg(ヤンセンファーマが製造販売、有効成分はクラドリビン)に、新規用量を追加することを報告・了承した。
従来の用法・用量は、ろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫等の場合、「7日間、持続点滴静注し、305週間休薬する」を1コースとする方法がとられていたが、「2時間点滴静注、5日間連続投与」を加えることになった。英国など世界16カ国で承認されている。
また、フルコナゾール製剤に係る効能・効果及び用法・用量の変更が報告された。現行では効能・効果に、「カンジダ属、クリプトコッカス属及びアスペルギルス属」とあるが、他に薬剤もあり臨床上の位置づけも低いことから「アスペルギルス属」を削除する。厚生労働省ではジェネリック薬について「現場が混乱しないよう、一律に削除する」とした。