私立大学よりも国立大学の方が、社会貢献や産学連携に対して意欲的であることが、船井総合研究所の行った「大学ブランドに関するアンケート」結果で明らかにされた。また、私立大は国立大に比べて就職率を重視する傾向があるなど、実益に重きを置く傾向がみられた。
アンケートに回答したのは、4年制大学123校(国立29校、公立13校、私立81校)、短期大学27校(公立4校、私立23校)の合わせて150校。大学側が認識する「大学のブランドを構成する要素」について聞いた質問では、国公私立ともに、[1]卒業生の活躍[2]大学の知名度・認知度[3]大学の歴史・伝統――の三つが上位を占めた。
しかし4位以下をみると、国立大は「研究業績」が上位にきているのに対し、公立・私立大の場合は「就職率」が上位にあり、国立とそれ以外の大学で、意識している要素に大きな開きが認められた。国公立大学が全般的に「研究業績」「社会貢献」など、社会還元に関する項目を上位に挙げたのに対し、私立大・短大は「就職率」「資格取得」など在校生の実益に関する項目が上位にある。
一方、大学でも「顧客」や「ステークホルダー」という考え方が浸透しつつある。そこで、大学側が認識する「大学にとっての顧客」について、7つの選択肢を示して回答を求めたところ、国公私立のいずれも、「在校生」と答える回答が最も多かった。
選択肢の中で最も大きな差を生じたのが「産業界」で、国立は70%を超える大学が「企業を顧客」として認識しているのに対し、公立・私立で「産業界」を顧客と捉える大学は、40%に満たない状況であった。この結果をみる限り、産学連携に意欲的なのは私立よりもむしろ国立大学で、ここでも国立とそれ以外の大学で、意識に大きな違いがみられた。