欧州委員会は、米ファイザーの複数分子標的抗癌剤「スーテント」(一般名:スニチニブリンゴ酸塩)について、インターフェロン”αやインターロイキン”2による治療が無効になった進行性、転移性腎細胞癌(mRCC)の適応追加を、条件付きで販売承認した。条件付き承認は、早期に供給する必要のある薬剤をPIIIデータの審査を待たず販売を認めるもので、ファイザーはEU諸国での販売を始めた。PIIIデータは現在、下部の欧州医薬品委員会(CHMP)で審査しており、終了すれば正式承認となる。
同剤は、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)とPDGF(血小板由来増殖因子)を阻害するマルチ分子標的薬。これまでの治験では、副作用は一般には中等度といわれるもので、20%以上の被験者が経験したものは疲労や、下痢、悪心、口内炎、消化不良、嘔吐、皮膚変色、食欲不振など。重篤なものでは、肺塞栓症(発現率1.1%)、血小板減少症(同率)、腫瘍出血(0.9%)などだった。
欧州では、同剤は既に、イマチニブ無効例などに対する消化管間質腫瘍(GIST)に対し条件付き販売承認を得ており、mRCCの適応承認はこれに続くもので、7月27日に取得した。いずれの適応も欧州ではオーファンドラッグに指定されていた。
日本では、同様の適応を目指しPIIにある。厚生労働省の「未承認薬使用問題検討会議」からは早期の承認申請が必要だとの指摘を受けている。
米国では、イマチニブ無効例などに対するGIST、進行性腎細胞癌の治療薬として1月に承認、販売されている。