文部科学省は13日、「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」の初会合を開いた。検討会では、薬学系大学院のあり方をはじめ、薬学系研究者養成のあり方、臨床教育の充実と評価のあり方などについて議論するが、4月には6年制薬学部を有する大学の大学院設置申請が控えているため、年度内に4回の議論を行い、薬学系大学院の教育内容や教員組織のあり方について、一定の方針を示す予定。座長には、永井良三氏(東京大学大学院医学系研究科教授)、副座長に市川厚氏(武庫川女子大学薬学部長)、井上圭三氏(帝京大学薬学部長)を選出した。
会合で文科省は、薬学系大学院のあり方に関して、▽6年制と4年制で異なる薬学系大学院の人材養成の目的をどう明確化するか▽薬学系大学院に必要な教育研究内容▽教育内容に応じた設置基準上の専任教員数――などについて検討が必要とした。
意見交換では、癌専門薬剤師やトランスレーショナルリサーチを推進する研究者の育成など、臨床現場でより高度な医療を提供するための人材を養成する場とする点について委員間の賛同が得られたものの、学部で6年間、大学院で4年間学んだ学生の「就職先」を懸念する声があがった。
小林資正委員(大阪大学大学院薬学研究科長)は、10年も大学で学んでいたら、教員など就職先が限定されてしまう点を指摘し、「薬学教育6年制での、4年間の大学院教育は真剣に考える必要がある」と述べた。
望月眞弓委員(慶應義塾大学薬学部教授)も「出口のニーズがあるかどうかを含め、大学院を出た人がどこに行けるのかを考えておくことは大事」と述べ、社会要請を踏まえた大学院のあり方について議論する必要性を示した。
こうした意見に対し、「これだけ高度に教育された薬剤師はあまりいない。引く手あまたになるのでは」などの意見も出た。
望月正隆委員(東京理科大学薬学部教授)は、「6年制を作ったのも大学院を作ろうとするのもわれわれで、責任がある。学生には将来の夢を示してあげるべき。そのためには、出口はわれわれが何とかするという気持ちが必要」と述べた。
委員は次の各氏。
市川厚(武庫川女子大学薬学部長)、井上圭三(帝京大学薬学部長)、生出泉太郎(日本薬剤師会副会長)、太田茂(広島大学薬学部長)、北澤京子(日経BP社日経メディカル編集員)、北田光一(日本病院薬剤師会常務理事)、倉田雅子(納得して医療を選ぶ会事務局長)、小林資正、高柳元明(東北薬科大学学長)
竹中登一(アステラス製薬会長)、永井博弌(岐阜薬科大学学長)、永井良三。長野哲雄(東京大学大学院薬学系研究科教授)、橋田充(京都大学大学院薬学研究科教授)、平井みどり(神戸医大学病院薬剤部長)、正木治恵(千葉大学看護学部教授)、村上雅義(先端医療振興財団常務理事)、望月正隆、望月眞弓
【お詫びと訂正】
記事初出時、高柳元明氏の苗字の漢字に誤りがありました。お詫びして訂正します。