厚生労働省は6日、6月1日から施行される改正薬事法の関係省令を公布した。改正薬事法では、一般薬を副作用のリスクに応じて第1類0第3類薬まで区分し、各分類に応じた薬の販売方法や薬剤師など専門家による相談対応のあり方を定めた。これにより、新たに設けた登録販売者を配置すれば、薬剤師がいないコンビニやスーパーなどでも、第1類薬以外のOTC薬の販売が可能となる一方、インターネット販売については、医薬品の安全使用を図る観点から、薬剤師や登録販売者による対面販売を徹底するため、副作用リスクが低い第3類薬に限定された。省令改正に伴う通知は、「追って発出する予定」だという。
改正薬事法では、リスクが高く注意が必要な第1類(H2ブロッカー胃腸薬や一部の育毛剤など)は、薬剤師が医薬品の購入者と対面しながら、使用上の注意などを説明した上で販売しなければならないと規定した。
比較的リスクの高い第2類(風邪薬や胃腸薬、漢方薬を含む伝統薬など)については、薬剤師もしくは、新たに設けられた「登録販売者」を配置すれば薬局・薬店以外でも売れるようになる。購入者との対面による説明は必要とされるが、努力義務となる。
リスクが比較的低い第3類(ビタミン剤や整腸薬、消化薬など)については、薬剤師もしくは登録販売者の配置が必要だが、使用上の注意や副作用の説明などの情報提供は不要となる。
インターネット販売は、対面での情報提供が不要な第3類薬に限って認め、漢方薬や生薬などを含む大半の一般薬のネット販売が禁止されることになる。
ネット販売に関する規定では、「薬局等に貯蔵し、または陳列している第3類医薬品を販売すること」とされており、店舗で注文だけを受け付け、別の倉庫から医薬品を発注するという方法では販売できなくなる。また、新たに郵便販売を行う業者には都道府県への届け出を求める。
構造設備、3年間の経過措置
OTC薬の陳列に関する規定も設けられた。第1類薬、第2類薬、第3類薬を混在させないような陳列を行うが、特に、第1類薬については、販売側から購入者へカウンター越しに医薬品を手渡すような陳列方法が課される。ただ、鍵の付いたガラスケースに陳列するなど、購入者が直接手に取れない場所に配置している状態であればいいという。
第2類薬のうち、特別の注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する「指定第2類医薬品」については、「専門家との距離を近くする」ため、情報提供を行うための設備から7m以内の範囲に陳列することとされた。
また、24時間営業のコンビニやスーパーを想定し、営業時間内であっても、専門家がいないなどの理由でOTC薬を販売できない時間帯がある場合は、陳列場所に網をかぶせるなどし、陳列場所を閉鎖することが課される。
薬局開設者や店舗販売業者には、薬剤師、登録販売者または一般従事者であることが容易に判断できるよう、その薬局に勤務する従事者に名札をつけさせるなど、必要な措置を講じなければならないとされた。
省令には、薬局医薬品(薬局製造販売医薬品その他の一般用医薬品以外の医薬品)に関する規定も盛り込まれた。薬局医薬品は、薬剤師による対面販売が義務づけられ、調剤室以外の場所に貯蔵してはならないとされた。
一方、構造設備に関して、既に開設している薬局については、2012年5月31日までの3年間は、適用しないという経過措置が採られた。