塩野義製薬とバイオベンチャーのオンコセラピー・サイエンス(OTS)は、癌治療用ペプチドワクチンに関するライセンス契約を締結した。塩野義製薬は、ペプチドワクチン5種類の全世界における独占的開発・製造・販売権を取得し、新たに癌領域への参入を果たす。
今回、塩野義製薬が独占的開発・製造・販売権を取得したのは、オンコセラピーが単離した2種類の膀胱癌関連遺伝子に由来する治療用ペプチドワクチンと、3種類の食道癌、肺・気管支・頭頸部の扁平上皮癌関連遺伝子から単離した治療用ペプチドワクチン。これにより、同社はOTSに対し、契約一時金、マイルストーン、上市後のロイヤルティーを支払う。ただ、契約金額については明らかにしていない。
OTSは、東京大学医科学研究所との共同研究で得られた遺伝子発現情報をもとに、癌関連遺伝子の同定、機能解析を進めてきた。これらの情報を用い、癌関連遺伝子に由来し、特異的に免疫能を高める癌ペプチドワクチンを多数同定。今回、そのうち5種類を塩野義製薬に導出した。現在、非臨床試験まで開発が進められ、第I相試験の準備段階にある模様だ。
同社は、研究開発の重点3領域として、感染症・疼痛・メタボリックシンドロームを位置づけてきたが、新たに癌治療用ペプチドワクチンを導入することで、癌領域にも参入する。
一方、国内バイオベンチャーの導出契約は、昨年9月29日のイーベックと独ベーリンガーインゲルハイム、1月28日のアリジェン製薬と大鵬薬品に続くもので、製薬各社の新薬不足が指摘される中、ここへ来て国内バイオベンチャーの存在感が一気に大きくなってきた格好だ。