加藤信頼性保証部長
医薬品医療機器総合機構(PMDA)信頼性保証部長の加藤祐一氏は29日に都内で講演し、EDC(電子データ収集)を利用した治験に対応するため、2013年度までに書面調査と実地調査の一体化を目指す考えを明らかにした。これまでの調査手法・手続きを再検討し、効率化を図ることで、信頼性調査の面からも国際共同治験への対応を急ぐ方針だ。
これまで、日本における治験の信頼性調査は国内試験が中心で、書面調査の文書・記録類も紙ベースが前提となっていた。ただ、国際共同治験の流れが加速する中で、EDCへの対応が迫られている。加藤氏は、「既に治験の電子化に関する法制化はできている」とし、EDCに対する信頼性調査を実施する上で、入力した電子データの信頼性がポイントになってくるとの見方を示した。
また加藤氏は、EDC利用治験において検討中の追加調査項目として、[1]EDCシステムの運用に関する治験依頼者の組織・体制・契約等[2]バリデーション[3]ユーザー管理[4]電子CRFの作成・修正・署名[5]データ保管””を挙げ、入力ミスやデータの不一致などに留意する必要があると指摘した。今後、PMDAでは、EDC利用治験の信頼性調査に関するチェックリストを示し、広く意見募集を求めていく。一方で、効率的な調査を行うために、国内外のEDCシステムへの理解を深めたいとしている。
その上で加藤氏は、国際共同治験の増加に伴うEDC利用の拡大を視野に、13年度までの中期計画期間中に書面調査・実地調査の一体化を目指す考えを明らかにした。具体的には、書面調査・実地調査の進捗管理を一元化し、訪問調査の実施率を向上させることで、一体化を実現する。また、GCPシステム調査の実施についても検討を進める予定で、現行の信頼性調査の手法・手続きを再検討することにより、政府が掲げる治験活性化、ドラッグラグ解消の方向性との一致を図る考えだ。
加藤氏は「信頼性調査を効率化することで、国内試験のみならず、国際共同治験に対応していかなければならない」と強調。将来的には、国際共同治験に対する信頼性調査として、海外医療機関への調査も視野に入れていく構想を示した。