医療経済実態調査の実施方法について意見
交換した
中央社会保険医療協議会の調査実施小委員会(委員長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は28日、次期診療報酬改定の基礎資料となる医療経済実態調査の実施方法について意見交換した。病院や診療所、薬局の収支状況を「単月ベース」で把握する従来の方法に加え、1年分の年間(決算)データでの調査も並行して実施することで意見が一致した。次回の調査実施小委に厚生労働省が調査項目を提示し、それをもとに議論する。
調査実施小委では、実調で決算データの活用が可能かどうかを検討するために設置したワーキンググループ(WG)の議論のとりまとめが報告された。
WGは、年間(決算)データを把握するメリットとして、▽調査月の特殊要因が排除されるため、単月調査に比べ数値が平準化される▽調査項目に前年度実績の12分の1の額を記入するための判断・計算が省略されると共に、作成済みの年間(決算)データから転記できる調査項目が多いため、記入負担が減る▽医薬品費や材料費は、月次棚卸を行っていないために、前年度の構成比または仕入額により記入している医療機関などが多数存在すると考えられるが、期末には実地棚卸が行われるため、医薬品費の数値(金額および構成比)が正確になる――などを挙げた。
一方で、▽決算時期が異なる経営主体間で、データの比較可能性をどこまで確保できるか▽各経営主体の収支は改定年で悪化し、2年目で改善する傾向がみられるとの指摘があるため、現行では改定された診療報酬への対応が不十分な時期(リードタイム)の影響を緩和し、影響調査を行っているが、年間ベースとなると、リードタイムを含んだ調査となってしまう――などの課題も挙げた。
その上で、年間(決算)データでの調査を実施する場合の具体的な方法として、▽基本的に現行の単月での調査項目について、年間(決算)データに切り替えて実施する(案1)▽現行の調査項目の削減を行い、収支などの主要調査項目について、2年分の年間(決算)データでの調査を実施する(案2)▽現行の調査項目の削減を行い、収支などの主要調査項目について単月データでの調査と1年分の年間(決算)データでの調査を試行的に実施する(案3)▽現行の調査項目の削減を行い、収支などの主要調査項目について、単月データでの調査と2年分の年間(決算)データでの調査を試行的に実施する(案4)――という四つの案を提示した。
中川俊男委員(日本医師会常任理事)は、年間(決算)データに完全に置き換える「案2」にすることを求めたが、「これまでの単月データと、年間データを参照しながら進めていくべき」「一つに絞り込んでしまうのはどうか」などの意見が大部分を占め、現行の調査と決算ベースでの調査の二本立てで行う「案3」で調査を実施することとなった。