創薬バイオベンチャーのアリジェン製薬と大鵬薬品は28日、新規抗潰瘍剤「ARH‐1029」について、日本での共同開発・独占的販売契約を締結したと発表した。国内ベンチャーとしては初めての非臨床段階での導出となり、契約金額も総額で約100億円と破格の契約となった。
ARH‐1029は、アリジェン製薬が創製した新規抗潰瘍剤で、胃酸分泌抑制作用とヘリコバクター・ピロリ菌に対する選択的な抗菌作用を併せ持ち、耐性菌にも効果を発揮する。
胃・十二指腸潰瘍の治療は、プロトンポンプ阻害剤(PPI)と抗生物質2剤でピロリ菌を除菌する3剤療法が標準治療とされているが、「ARH‐1029」は1剤で除菌治療を行える可能性があるだけでなく、下痢などの副作用もないことから、根治療法につながる薬剤と期待されている。
今回の契約締結により、アリジェン製薬は大鵬薬品から契約一時金を受け取ると共に、開発ステージの進捗に応じたマイルストーン、上市後の販売ロイヤリティー、売上高に応じたボーナスペイメントも受け取る。ロイヤリティーを除く契約金額は総額で約100億円となり、バイオベンチャーと製薬企業との契約としては最大級となった。
今後、ARH‐1029の開発は大鵬薬品が引き継ぎ、1年以内には臨床試験をスタートさせる予定。さらにアリジェン製薬は、海外導出に向けた交渉を進めていく方針だ。