厚生労働省保険局国民健康保険課の武田俊彦課長は20日、全国厚生労働関係部局長会議で、国民健康保険における後発品の普及促進策について説明。市町村国保が被保険者に対し、後発品に切り替えた場合の自己負担の減額幅について周知する取り組みを、努力義務とすることを明らかにした。中でも、医療給付費が全国平均を超えた指定市町村には、「特に促進策に努めること」とし、より踏み込んだ対応を求める。また、後発品の使用を希望する患者の意思表示を容易にする「後発医薬品希望カード」を全ての被保険者に配ることも求めた。
これらの後発品使用促進策は、医療費適正化対策の一環。保険局国民健康保険課が20日付の課長通知で、各都道府県に指示した。
保険者が自己負担の減額を被保険者に周知する取り組みは、財政状況が厳しい広島県呉市が、地域の医師会や薬剤師会と連携し、昨年7月から進めてきた試み。
慢性疾患などで薬剤を長期服用している国保被保険者に、後発品に切り替えた場合の減額幅を記載した手紙を送付。被保険者が受け取った手紙を医療機関や薬局の窓口に提示すれば、後発品の処方に切り替わるというもので、今回の「減額幅の通知」は、こうした取り組みを拡大させた形。
高医療費の指定市町村として、厚労省から国保運営安定化計画の作成を求められた市町村に対しては、安定化計画に「使用促進に係る具体的取り組みを明記すること」とするなど、「一歩進んだ」対応を求める。後発品への切り換えを患者に呼びかけることで、厳しい状況が続く国保財政の健全化を図りたい考え。
また、後発品への切り換えが円滑に進むよう、「後発医薬品希望カード」を全被保険者に配布する取り組みも進める。さらに、都道府県で設置される“後発医薬品安心使用促進のための協議会”への、保険者の積極的な参加も求めている。武田課長は、「医療の質を落とすことなく、医療費全体の適正化が図られ、保険財政のためになるという重要な取り組み」と協力を呼びかけた。