厚生労働省は、インフルエンザ治療薬タミフルに耐性を示すインフルエンザウイルスの検出状況に関する中間報告(1月8日時点)を発表した。それによると、今シーズンのインフルエンザウイルスについて、国立感染症研究所が検査した結果、11都道府県で採取したAソ連型ウイルス(A/H1N1)35株のうち34株(97%)が、タミフル耐性だった。厚労省によると、リレンザの耐性は確認されておらず、ワクチンの効果にも影響はないとしている。
今シーズンの流行ウイルスは、A香港型(A/H3N2)が最も多く45%を占め、Aソ連型36%、B型19%と続く。Aソ連型は2番目に多く、3分の1強を占めている。
国内でタミフル耐性が確認されたA香港型ウイルスは、欧州を中心に作シーズンから出現している北欧系統の株。タミフル耐性ウイルスは、欧米での検出率が高く、欧米などで見つかった耐性ウイルスが日本に上陸した可能性があるという。国内でも昨シーズン、Aソ連型の流行が見られているが、タミフル耐性はわずか2・6%との調査結果が示されている。
耐性ウイルスは、薬を多く使っている環境で発生しやすいが、欧州では通常のインフルエンザの治療にタミフルはほとんど使用されておらず、厚労省は「急増の原因は不明」としている。
厚労省は研究班を設置し、海外での耐性株の拡大状況や、耐性ウイルス感染で患者の症状に何らかの特徴があるかなどについて、調査することを決めた。
リレンザについては、耐性の問題は生じていないため、有効だとした。ワクチンの効果についても、現在見られている耐性化のウイルス遺伝子変異は、ワクチンの効果に影響を及ぼさないため、問題はないと推測している。
ただ、全国で検査されたウイルス株の数が限られているため、厚労省は「今後も引き続きサーベイランスを行い、発生動向を注視したい」としている。