会見するメディ・パルHD田辺副社長(左)、
アルフレッサHD長谷部専務
メディセオ・パルタックホールディングスとアルフレッサホールディングスは9日、4月1日に予定していた合併計画を解消すると発表した。都内で記者会見したメディ・パルHDの田辺源一郎代表取締役副社長、アルフレッサHDの長谷部省三取締役専務執行役員は、揃って「残念」とコメント。今回、合併解消の決め手となった公正取引委員会の二次審査について、「市場シェアだけでなく、取引先など川上から川下までの調査に時間がかかった点が見込み違いだった」(長谷部氏)との認識を示した。今後の合併などの可能性については、両社とも「全くの白紙」としている。
両社は、昨年10月10日の合併基本合意書締結後、経営戦略委員会を設置し、合併後の経営方針、統合実務に関して協議を進めると共に、独占禁止法に抵触する可能性について公取委への事前相談を行ってきた。昨年の合併会見で熊倉貞武メディ・パルHD社長は、「医療用医薬品、一般用医薬品、試薬、医療機器など全てのデータを提出して、独禁法に抵触しないことを説明している」と語っていたが、公取委は昨年末、合併に関する詳細な審査が必要と判断。第二次審査に移行する方針を内示した。
田辺氏は「一次審査については、合併の目的や流通改善の問題に資するべく備えていきたいということで受け付けてもらった」と、門前払いではなかったことを強調。ただ、二次審査に移行した結果、審査期間が当初の合併予定日である4月1日を超えることが予想されたため、両社は合併延期によって統合効果の早期実現が困難になり、収益面で大きなリスクが想定されると判断。合併計画を白紙撤回することを決めた。
田辺氏は「公取委から断られたのではなく、審査が長すぎて営業に関わるため」と、自主的な決断だったことを説明。長谷部氏は、公取委の審査内容について、「売上高の調査だけとは考えられない。市場シェアだけではなく、取引先など多方面から合併の妥当性を探っていると解釈している」とした上で、「われわれもどこが問題になっているか直接は聞いていない」ことを明らかにした。
両社は、4月1日に期日を設定した合併発表時から審査の長期化を予想していたものの、公取委の最終判断は間に合うと見ていた。しかし今回、合併解消の事態に至ったことについて、長谷部氏は「見込み違いがあるとすれば、公取委の川上から川下までの調査に時間がかかった点」と話した。
また、公取委から事業の一部譲渡、売却が求められたとの報道に対しては、「全く言われていない。あくまでも二次審査の内示を受けただけ」と否定した。
今後については、両社とも「白紙」とした上で、田辺氏は「合併だけが全てではなく、さらに効率化を図っていかなければ厳しい情勢についていけない」と強調。長谷部氏は「合併がダメになったからといって、全ての可能性を放棄するわけではない。従来以上に可能性を追求していきたい」と前向きな姿勢を示した。
今回の合併解消に伴い、一連の手続きは全て中止する。また、3月26日に予定していたアルフレッサHDの株式上場廃止は行わず、上場を維持することになる。