厚生労働省の2009年度予算案で、後発品の使用促進関連費用が9・2億円に上ることが分かった。昨年12月20日の財務省原案内示では、9・2億円だったものの、同日の厚労省当初内示には、後発品使用を希望する患者の意思表示を容易にする「後発医薬品お願いカード」の配布に対する補助金約6・1億円が盛り込まれていなかったため、3・1億円と公表されていた。
「カード」配布は12月18日、舛添要一厚生労働相と中川昭一財務相の予算案事前折衝で合意されていた。09年度予算案で社会保障費自然増2200億円削減のために、後発品使用促進で230億円を捻出するための措置の一つだ。
補助金の内訳は、中小企業のサラリーマンや家族が加入する協会けんぽによる「カード」配布に対する補助金4億4000万円と、後期高齢者医療制度の広域連合によるカードの配布にかかる費用1億6700万円。厚労省では、09年度の新たな取り組みとして、原則、各保険者が全ての被保険者に「カード」を配布するような施策を講ずるとている。
また、厚労省医政局の「後発品の使用促進」は、前年度の4483万円を大幅に上回る1億1500万円となった。主に、各都道府県に設置する協議会で、実情に応じた具体的な後発品使用促進対策事業を検討・実施すると共に、医療関係者や患者・国民向けパンフレット作成などに充てられる。
昨年8月の概算要求の金額(9134万円)に比べ、2000万円近くの増額となったが、薬局が取り扱う後発品の情報を医療機関と共有するための「後発品備蓄リスト」を地域レベルで作成する事業のほか、医師などを対象にした後発品の品質に関するシンポジウムの開催なども行う。
医政局‐“研究開発”を重点化
一方、医政局の09年度予算案は、前年度に比べ164億9400万円(8・4%)増の2132億6100万円となった。その中で、「革新的医薬品・医療機器の研究開発の促進」には、239億4100万円が充てられた。
予算案の大部分を占めるのは、医薬品・医療機器に関する研究費の重点化・拡充(225億3300万円)だ。癌や精神神経疾患、難病などの重大疾病領域、新たな技術(テーラーメイド医療、再生医療)などの領域を重視し、先端医療研究拠点を中核とした複合体に対して、研究資金の弾力的な運用や開発段階からの薬事相談などを試行的に行う先端医療開発特区(スーパー特区)による実用化を含め、革新的医薬品・医療機器の研究開発を促進する。
また、世界に通ずる臨床研究拠点医療機関の整備(4億0000万円)では、外国の研究機関との共同研究計画の作成や、契約などの一括実施が可能なグローバル臨床研究拠点を整備する。