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睡眠薬を服用している20代050代の人の約3割に、うつ病のおそれがあることが、グラクソ・スミスクラインの調査で分かった。調査を監修した東邦大学医学部の坪井康次教授は、患者はなかなか不眠以外の精神不調を訴えないことから、医師の側から尋ね、早期発見、早期治療につなげるよう呼びかけた。また、うつ病治療にSSRIを用いる場合は、睡眠薬の薬物代謝酵素との関係を見極め、眠気やふらつきといった副作用を増強させない薬剤を選択することを強く求めた。
調査は1月02月にかけて、インターネットで行い、308人から回答を得た。別途、非服用者も調査した。服用者のうち睡眠薬の服用期間は平均2.4年。睡眠薬の処方時の診断は「不眠症」が約4割で、うつ病は約1割だった。
うつの診断はDSM‐IVの大うつ病性障害の診断基準を満たしたものを「うつ病」、診断基準は満たさなかったものの「うつ症状」の項目に該当した場合を「うつ状態」とし、いずれかがある例を「うつ症状」として評価された。
その結果、睡眠薬服用者308人では、36.7%が「うつ症状」に該当し、非服用者(557人)の該当率15.6%に比べ、有意に高いことが明らかになった。また服用者の中で、うつ病の診断や抗うつ薬の服用がない214人について調べた結果でも、32.2%に「うつ症状」があり、非服用の14.8%に比べ高頻度だった。
服用頻度別にみると、多いほどうつ症状を呈する人が多くなり、ほとんど毎日服用している人では48%に上った。
うつ症状該当者69人の6割強は、自分がうつかもしれないと感じ、ほとんどが不眠以外の精神症状の改善を望んでいたものの、そのことを医師に相談したことがない人は44・9%もいた。
その点、坪井教授は「医師が何らかの手助けをしないと、患者さんは言い出せない」とし、不眠の訴えからうつ病か否かを判断するため「2質問法」を応用した面接法の実施を提案した。
「眠れない時、昼間の出来事をくよくよ考え込んでいることはないか?」「眠れなかった次の日、仕事や家事をやる気が薄れることはないか?」を質問することで、早期発見、早期治療につながるとしている。