新聞・雑誌の記事データベース「ELNET」を運用しているエレクトロニック・ライブラリー(EL)は、「2009年の注目キーワード10」を発表した。ELNETに登録されている約211万語のキーワードについて、ヒット数の増減を数値化したELトレンド指数などを基に分析したもの。政治では「政権交代」、経済・産業では「業界再編」、社会では「医師不足」などが、今年の紙面を賑わすものと予測している。
今年の注目キーワード10には、政治関係では「オバマ大統領」「裁判員制度」「定額給付金」「政権交代」、経済・産業の関係では「業界再編」「太陽光発電」「次世代高速無線通信」、さらに社会の分野からは「医師不足」「石川遼」「東京オリンピック」が選ばれた。
政治の分野では、1月20日にオバマ氏が米国史上初の黒人大統領として、第44代大統領に就任する。世界金融危機の原因となった経済の低迷、長引くイラク駐留問題など、内政、外交とも大きな課題を抱える中で、解決を目指してどのように手腕を発揮するのか、全世界が注目している。特に、経済復興に向けてどのような政策を打ち出すのか、非常に気掛かりなところだ。
国内の政界はねじれ国会の下で、安倍内閣、福田内閣と1年足らずでの首相交代が続き、昨年10月に麻生内閣が誕生した。しかし世界的な金融危機を受けて経済が極度に悪化し、内閣支持率も低迷している。今年は総選挙が行われる。与党の巻き返しがなるのか、野党が議席を伸ばし「政権交代」が実現するのか、政界再編の動向も含め目が離せない。
経済・産業の関係では、業界再編に注目が集まっている。米国リーマンブラザーズの破綻をきっかけに、世界中で金融再編の流れが一気に加速した。それが自動車、家電をはじめ、全産業界に影響を及ぼし始めている。各業界では生き残りをかけて、M&A、リストラ、統廃合、合理化などが進められている。医薬品業界は製造から流通、小売に至るまで、既に再編成の渦中にあるが、その波がさらに高くなることも予想される。
社会の関連では、深刻な問題となっている医師不足が取り上げられた。地域の医療機関をはじめ産科、小児科などで医師の絶対数が不足し、医療の危機が心配されている。政府が掲げた社会保障の機能強化のための緊急対策では、夜間・休日の緊急医療、小児科、産科、へき地勤務の医師などに、財政支援を行う方針を打ち出したほか、医学部の定員も増やされる。これらの施策がどれだけ有効に機能し、特定分野の医師不足に歯止めをかけて医療崩壊を防ぐことができるか、医療分野の大きな課題である。
一方、注目キーワードを上位50まで拡大すると、▽外国人看護師▽パンデミック▽介護ロボット▽県立病院▽救急搬送トリアージ▽臨床試験大学院▽大麻――の7語がランクインする。健康や医療が、国民生活に直結していることの現れともいえるだろう。