事前協議する両大臣
舛添要一厚生労働相と中川昭一財務相は18日、来年度予算案の事前協議を行い、社会保障費の自然増2200億円の圧縮財源に、健康保険組合などを助成するため年金特別会計に設けられている「特別保健福祉事業資金」の清算で1370億円、一般財源化する道路特定財源で600億円、後発品の使用促進で230億円を捻出して充てることで合意した。社会保障費の実質的な削減は、後発品促進による230億円にとどまることを受け、厚労省は、今年度診療報酬改定で後発品使用の努力義務を課した療養担当規則、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の徹底や、普及啓発活動を強化するなどし、後発品の使用促進が着実に行われるようにする。
厚労省が、2200億円の削減を手当てできる財源の中で、大部分を占めるのが「特別保健福祉事業資金」の清算分1370億円。財政難の健保支援などに使っている事業資金が1兆5000億円に上ることから、運用資金の余剰金を圧縮財源に充てる。
厚労省によると、舛添大臣は「単年度限りの財源だが、国民負担増につなげないため、削減幅の圧縮に充てることを理解いただきたいと」と、中川財務相に理解を求めた。また、後発品の使用促進で捻出する230億円については、「国民負担の軽減につながるものだが、なかなか困難な状況にある」と述べたという。
これに対し中川財務相は、「ぎりぎりの判断として認めることとしたい」と述べたという。
これにより、社会保障費の実質的な削減は後発品促進による230億円にとどまることになる。そのため厚労省は、着実な実施を行うための方策として、▽保険者から被保険者への働きかけ▽療担規則、薬担規則の徹底▽普及啓発活動――を挙げた。
保険者から被保険者への働きかけでは、患者が診察時に医師に後発品を処方してもらいたいという要望を簡便に伝えるようにする「ジェネリック医薬品希望カード」を配布する。また、医療費通知などで、先発品から後発品に切り替えた場合、自己負担額がどれだけ軽減されるかについての説明を促す。厚労省は「予算も絡んでくるが、そうした取り組みを支援したい」と述べた。
さらに厚労省は、保険薬剤師に患者へ後発品の情報提供を義務化すると共に、医師、薬剤師に対して後発品使用の努力義務を課した療養担当規則を徹底するため、通知を出すなどして指導監視の強化を図る。