厚生労働省の「未承認薬使用問題検討会議」が7月28日に開かれ、ワーキンググループ(WG)から提出されたスニチニブなど国内未承認4品目に関する検討結果報告書を了承した。これを受けて厚労省は関係企業に対し、早期に承認申請や治験を実施するよう要請する。
WGから提出された報告書は、[1]スニチニブ:効能効果=消化管間質腫瘍(イマチニブ耐性)、米国で2006年1月26日承認[2]ソラフェニブ:進行性腎細胞癌、米国で05年12月20日承認[3]フォスフェニトイン:てんかん様重積症ほか、学会からの検討要望、米英等で既承認[4]デフェラシロックス:輸血による慢性鉄過剰、患者団体からの要望、米国で05年11月2日承認――の4品目。
WGの報告書によると、スニチニブは現在、国内では第II相試験が実施されており、これまでの臨床試験等の結果から、有効な薬物療法のないイマチニブ治療後の増悪、あるいは不応の消化管間質腫瘍及び進行性腎細胞に対して、有効な治療法になり得ると評価。また安全性の面では、スニチニブで認められる主な副作用には骨髄抑制、リパーゼ上昇、高血圧、皮膚障害、悪心、下痢などがあり、頻度は低いが心毒性も認められている。このように副作用が多岐に及んでいることから、副作用への対応を十分行う観点からも、早期の承認申請がなされるべきだと結論づけた。
ソラフェニブに関しては、[1]IL-2による治療歴を大半が有する進行性腎細胞癌に対し、プラセボと比較しても無増悪生存期間を延長させる[2]薬物療法歴のない症例に対しても、また従来のインターフェロンとの比較でも無増悪生存期間を延長させる――などが示されたと評価した。安全性については、ソラフェニブの副作用は高血圧、皮膚障害、下痢、疼痛などが主なものであり、現時点では従来療法と比較して、ソラフェニブの毒性が特に高いという報告はなされていないとした。ただ、副作用への対応が十分なされる必要があるとした上で、6月末に国内で承認申請が行われたことなどから、迅速な審査が行われるべきだと結論した。
フォスフェニトインは、フェニトインのプロドラッグで、安全性プロフィールもフェニトインよりも勝るとされ、米国では標準的治療薬として小児・成人に使用されている。末梢血管への刺激性がなく、循環動態への影響が少ない等の安全性プロフィールと、より短時間での投与が可能なため、点滴確保が困難な小児にとって重要な薬剤とし、さらに筋肉内投与もできることから、医療上の重要性は高いと判断された。
てんかん重積症ばかりでなく、頭部外傷時等のてんかん予防・治療、フェニトイン製剤の投与が不可能な場合の適応も含め、国内で早急に治験を開始するための検討を要請した。
デフェラシロックスは、鉄のキレートである経口剤。慢性鉄過剰症に対しては、わが国にはこれまで経口剤がなく、同剤が使用できるようになれば、実質的に今まで治療法がなかった血小板減少を伴う輸血依存患者にとって朗報になるとした。国内では悪性貧血患者を対象とした第I相試験が実施されていることから、外国臨床データの活用も考慮した上で、早期に承認申請が行われることが望まれると結論づけた。
なお適用については、軽度の骨髄異形成症候群などへ安易に使用することは慎むべきとの考えを示し、使用しなければ心不全や肝硬変になるような長期頻回輸血患者を対象にすべきと指摘した。