厚生労働省が7月26日付で承認した新薬では、ビスホスホネート系骨粗鬆治療薬で国内初となる週1回投与製剤、新しい作用を持つ抗てんかん薬、B型肝炎治療に選択肢を広げるもの、乳幼児向け気管支喘息治療薬が登場した。承認された主な製品を紹介する。順調に薬価収載されれば、9010月には発売となる見通し。
【ガバペン錠”ファイザー】
抗てんかん薬「ガバペン錠200mg、同300mg、同400mg」(一般名:ガバペンチン)は、脳内の電位依存性カルシウムチャネルα2δサブユニットに結合し、カルシウムイオンの流入を抑制してグルタミン酸などの興奮性神経系を抑制する。既存の抗てんかん薬が作用するGABA、ベンゾジアゼピン受容体に対する活性がなく、作用部位が異なるため、他の抗てんかん薬との相乗効果が期待できる。
国内PIIIではプラセボと比べ、てんかん発作頻度を有意に低下する成績が得られている。副作用は、傾眠やめまい、倦怠感などが確認されている。
初日に1回200mg、2日目に400mg、3日目から1回4000600mgを1日3回経口投与。最大で1回800mg。
【イトリゾール内用液”ヤンセンファーマ】
「イトリゾール内用液1%」(一般名:イトラコナゾール)は、内用液剤の剤形により口腔内、それに近い罹患部への直接作用を生かし、口腔咽頭カンジダ症、食道カンジダ症を適応とする。従来のカプセル剤は内臓真菌症などが適応だった。
治験では、口腔咽頭カンジダに対する有効性は91.6%、食道カンジダ94.3%。胃酸の影響を受けないため空腹時投与が可能で、食事摂取が困難な患者も服用できる点が特徴。1日1回空腹時に投与。
【ベガモックス点眼液”日本アルコン】
「ベガモックス点眼液0.5%」(一般名:塩酸モキシフロキサシン)は、結膜炎や角膜炎などの外眼部感染症や周術期の無菌化療法に適応を有するニューキノロン系の第4世代の抗菌点眼剤。
同剤は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含むグラム陽性菌などの主要な眼感染症起炎菌に対し高い抗菌力を持つ。また、構造式中にあるキノロン骨格の7位にピロロピリジン基を導入したことで、涙液、角膜、房水などへの組織移行性が高い。
用法用量は1回1滴で、外眼部感染症が1日3回、周術期の無菌化療法は手術前が1日5回、手術後が1日3回。
【アボネックス筋注用シリンジ”ジェンザイムジャパン】
「アボネックス筋注用シリンジ30μg」(一般名:インターフェロンβ”1a遺伝子組換え)は、多発性硬化症の再発予防に用いる。販売は、バイオジェン・アイデック・ジャパンが行う。
インターフェロンβ‐1aが抗原提示細胞からの抗原提示を抑制し免疫応答反応を抑制することに加え、多形核好中球を介する抗体依存性細胞障害作用を増強するという作用機序が考えられている。
用法は、1週間に1回30μgを筋肉内投与する。
【フォサマック錠、ボナロン錠の週1回製剤””万有製薬と帝人ファーマ】
有効成分のアレンドロン酸ナトリウム水和物は、万有製薬と帝人ファーマが共同開発したビスホスホネート系化合物。骨粗鬆症治療薬として1物2名称で、これまで連日投与の5mg錠が販売されてきたが、今回承認された「フォサマック錠35mg」(万有)と「ボナロン錠35mg」(帝人)は、国内初の週1回投与製剤となる。
治験では連日投与製剤と同等の効果を示した。週1回にすることでコンプライアンスの向上を狙う。万有によると、海外では処方のほとんどが週1回製剤に切り替わったが、両社とも5mg錠は残す。
売上高見込みは万有は非開示、帝人は5mg錠を含め将来的に100億円以上を期待する。
【パルミコート吸入液”アストラゼネカ】
「パルミコート吸入液0.25mg、同0.5mg」(一般名:ブデソニド)は、生後6カ月以上5歳未満の乳幼児向け気管支喘息治療薬で、これら対象年齢で開発された初の吸入ステロイド剤。1回使用量がアンプルに充填された吸入用懸濁液で、電動式ネブライザーにより特別な呼吸動作なしに吸入できる。
国内PIIIでは、[1]1日102回の使用で喘息発作の頻度を投与前に比べ速やかに低減(2週間で50%、12週間で75%)[2]夜間睡眠が妨げられた日数の割合を61.4%低減(最後の2週間のデータを投与前と比較)””などの有効性が示された。
ステロイド剤投与時の全身への影響の一つである成長抑制については、96週以上観察を継続しており、試験期間中の患者の身長と体重は概ね日本人小児の標準成長曲線の範囲内で推移しているとしている。
1日、0.25mgを2回、または0.5mgを1回投与し、最大1mg。
【バラクルード錠”ブリストル製薬】
B型慢性肝疾患治療薬「バラクルード錠0.5mg」(一般名:エンテカビル水和物)は、グアノシンのヌクレオシド類縁体で、B型肝炎ウイルス(HBV)のDNAポリメラーゼを選択的に阻害することで作用を発揮する。
国内治験では、ヌクレオシド製剤未治療のB型慢性肝炎患者137例をエンテカビル0.01mg投与群、0.1mg投与群、0.5mg投与群、ラミブジン100mg投与群に無作為に割り付け、それぞれ24週間投与したところ、ラミブジン100mg投与群に比べ、エンテカビル0.5mg投与群でHBVのDNA量を有意に改善する結果が得られている。
副作用の発生頻度については、エンテカビル投与群とラミブジン投与群の間での有意差はなかった。頻度の高い副作用は、頭痛、上気道感染、鼻咽頭炎、咳、発熱、上腹部痛、倦怠感、下痢などで、ほとんどが軽度から中等度であった。
食後2時間以降、かつ食事の2時間以上前の空腹時に1日1回、1錠を経口投与する。