日本薬剤師会は21日、「医薬品のインターネット販売に関する日本薬剤師会の見解」を発表した。ネット販売は購入者と直接会話を介さずに行われるため、受診勧奨の機会を失わせ、危険性が高まるなどと指摘。医薬品の特性上、その販売のあり方は利便性よりも安全性がより確保できる制度のもとで行われることが重要との従来からのスタンスを示し「一般用医薬品の販売は対面販売が原則であり、インターネット販売については禁止、少なくとも第3類に限定すべきである」との見解を示した。日薬がここにきて「見解」を公表した背景は、NPO法人日本オンラインドラッグ協会が20日、第103類薬のネット販売は適法と主張した記者会見を開くなど、省令作成を前にしてネット販売の規制緩和に向けた動きが騒がしくなってきたことを受けたもの。
同「見解」の理由として日薬は[1]医薬品には必ずリスクである副作用の発生が伴っている。[2]インターネット販売は、対面販売と異なり、注文、医薬品の輸送、使用、使用後の経過の確認などが購入者との直接の会話を介さずに行われることになる。そのため薬剤師などの専門家により、リスクを未然に回避したり、症状や副作用の悪化を防いだり、さらには医薬品を販売せずに受診勧奨をしたりする機会を失わせ、危険性が高まることは明らかである。[3]具体的な被害事例を示すまでもなく、インターネット販売においては副作用被害を受ける可能性が対面販売より高まることは当然であり、国民の安全を守ることを任務とする薬剤師として看過することはできない。[4]インターネット販売では、購入者による販売者の選択は、販売者からの一方的な情報提供のみにより行われており、提供されている情報の真偽の判断が困難であり、明らかに違法と思われるものまでが販売されるインターネット販売の現状を勘案すると、インターネット販売の容認は国民の確保を揺るがすことになる。[5]今回の医薬品販売制度改正は04年より公開の場で検討され、国会での議論を経て薬事法が改正された。その後再び公開の場で検討され、今日に至っていることを留意すべき。[6]医薬品販売は利便性よりも安全性がより確保できる制度のもとで行われることが重要””としている。