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中央社会保険医療協議会は26日、薬価専門部会(部会長:遠藤久夫学習院大学教授)を開き、薬価改定頻度を含む薬価制度のあり方について、製薬3団体から意見を聴取した。
各団体とも焦点の薬価頻回改定について、現行制度を前提にした実施に改めて反対の立場を強調すると共に、改定頻度だけでなく、薬価制度全体についての検討を求めた。
中でも日本製薬団体連合会の森田清会長は、「引き上げ、引き下げの双方の可能性がある改定ルールなら公平であり、頻度も検討の余地がある」と含みを持たせながらも、[1]薬価が下がり続けるなど構造的欠陥がある仕組みで、改定頻度だけを増やすのは不公平を助長する[2]価格未妥結・仮納入や総価取り引きが解消されていない――などを理由に、頻回改定には応じられないとの姿勢を示した。
欧州製薬団体連合会会長の大橋勇郎氏は、現行制度において、メーカーの責任範囲を超えたところで、薬価がスパイラル的に下がり続けることに加え、市場拡大再算定や特例引き下げという銘柄別市場実勢価格主義を逸脱したルールを前提に頻回改定を行えば、日本市場の魅力や競争力が阻害されると指摘すると同時に、“ドラッグラグ”を助長する懸念もあるとし、頻回改定に反対する考えを述べた。
また、▽現行の隔年改定でも価格交渉が数カ月にわたり、市場に混乱が生じている▽未妥結・仮納入や総価取引といった取引慣行により、市場価格の形成にはある程度の期間が必要▽改定頻度を高めることで得られる結果と、それに伴う手間や経済負担増のバランスを考慮すべき――とし、現行制度の維持を求めた。さらに成分加重平均方式についても、銘柄別市場実勢価格主義を逸脱したもので、断固反対との姿勢を強調した。
米国研究製薬工業協会のニュートン・クレンショー在日執行委員長は、薬価改定の頻度を高めることで、急速な薬価の下落により先進諸国との価格差拡大が起こり、安定供給や患者の新薬アクセスに破滅的な影響をもたらすと懸念を示す一方、未妥結・仮納入といった不適切な取引慣行を是正せずに頻回改定を実施すれば市場に混乱が起き、不適切な取引慣行を助長しかねないとして、やはり反対の立場を主張した。