最終的には大臣折衝も視野
会見する草刈議長
政府の規制改革会議(議長:草刈隆郎日本郵船会長)は11日、インターネット販売や通信販売によるOTC薬の取り扱いを規制する厚生労働省の改正薬事法省令案について、これら規制に関わる部分を全て撤回した上で、新たなルール整備を早期に行うことを求める見解書を公表した。草刈議長は、「こうした販売形態はこれまで何ら問題となっていない」との認識を示した上で、今後の事務レベルでの折衝が不調に終わった場合には、「大臣同士の話になることもあり得る」と述べ、舛添要一厚生労働相と甘利明規制改革担当相による大臣折衝で決着させたい考えを示した。
改正薬事法がこのまま来年6月に施行されれば、OTC薬のネット販売・通販は、比較的リスクの低い第3類薬に限定され、これまで認められていたネット販売の対象範囲が狭められることになる。
同会議は、OTC薬は第1類薬、第2類薬が大部分を占めているとし、実質的にネット販売などの販売形態を「大きく規制する省令案が出されることになる」と判断、厚労省が省令を出す前に見解書を公表し、方針転換させたい考え。
同会議の松井道夫主査(松井証券社長)は、「薬事法上でネット販売などを禁止する明示的な規定がないにもかかわらず、なぜこうした規制が省令でできるのか。法の授権範囲を超えている」と問題視した。
草刈議長も、「地方の中小薬局のビジネスチャンスの芽を摘むことになり、地方の切り捨てや格差を助長する」と指摘した上で、「不況を増幅するようなもので、それは緊急経済対策を打ち出している政府の方針に背くもの」と非難した。
また、消費者の中には、時間的な制約や地理的な制約がある者、病気などで外出困難な者もおり、「ネット販売に対するニーズはコンビニエンスストアなどでは代替できない」とし、消費者の利便性を阻害する要因になっていることを主張した。
さらに、日本オンラインドラッグ協会の調査によると、ネットを含む医薬品の通販市場は250億円規模になるとのデータも紹介。これまで容認されてきたネット通販が禁止される点を問題視し、新たなルール作りを求めた。
一方、薬害肝炎被害者団体などから、ネット販売の規制緩和を慎重に進めることを求める意見が出ていることについて松井主査は、「医薬品の安全性の担保は大前提。それを度外視してまでということではない。ただ、販売形態とは別の問題。店頭での対面販売に比べて,ネット販売が安全でないという明確な根拠を示してもらいたい」と主張した。