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千葉県薬剤師会が23日に開いた「ちば薬剤師フォーラム2006」で、聖マリアンナ医科大学病院の事例として「後発品の使用により3年間で8億円の医薬品購入費削減が実現した」ことが、同病院薬剤部長の増原慶壮氏から紹介された。増原氏は、次のステップとして代替調剤の実現を挙げ、「病院薬剤師、薬局薬剤師共通の目的として勝ち取るべきだ」と呼びかけた。
増原氏は、同病院が後発品採用を開始してからの3年間で、医薬品購入費が約8億円削減され、かつ患者には何もデメリットがなかったと紹介。その上で「後発品は先発品に比べて情報が乏しいと言われるが、これだけ大きな経済効果を考えるなら、足りない情報は自分で苦労して調べたとしても十分に賄える。医療においてはある程度冷静に考えて、現実に有効な対応を取ることも大切だ」との見方を示した。
さらに、多くの先進国の中で、日本だけが薬剤師による代替調剤が認められていない現状を踏まえ、「後発品使用を進めるためには、薬剤師による代替調剤の権利を獲得することが重要だ」と指摘。「今こそ病院薬剤師も薬局薬剤師も国民の利益を考えて、代替調剤を共通の目的として勝ち取るべきだ。薬剤師職能の拡大や6年制に向けての希望、国民からの信頼のためにも、現在が薬剤師にとって千載一遇の好機だ」との考えを展開した。
また、川崎市薬剤師会の山村真一氏からは、聖マリアンナ医大病院の一般名処方を面で受けてきた川崎市の現状を報告した。市薬では2004年に同病院が一般名処方を開始した3カ月後、及び1年後の計2回、患者の選択状況についてアンケート調査を実施している。
開始直後は69軒の薬局から1420件のデータを収集し、277件(19.5%)の患者が後発品を選択していた。この後発品選択率は、開始1年後には25.7%と約6ポイント上昇していた。また薬局の後発医薬品備蓄数は、11030品目が41%で最も多く、次いで1010品目が37%、310100品目が16%と、30品目以下で対応している薬局が8割近くを占めていた。
こうした経験を踏まえ山村氏は、今年4月にスタートした後発品変更可の処方せん様式変更に対して、「様々なメニューを患者さんへ提供できるようになった。われわれが勝ち取った権利ともいえるものなのに、薬剤師側の足並みが揃わず、薬局の負担ばかりが取り沙汰されている」とコメントした。
その理由として、処方せんの急速な伸びにより業界が急成長した結果、開設者の店舗が減り、支店が増えてきたことなどを指摘。「成長が急速すぎたため、同じ薬局同士が一体感を持てない。今後は開設者の店舗も大規模薬局の支店も、一体となって変化に対応していくべきだ」と述べた。