会見する3師会会長
日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の3師会は22日、「レセプトオンライン請求の完全義務化撤廃を求める共同声明」を、舛添要一厚生労働大臣などに提出した。声明ではレセプトオンラインの完全義務化により、廃業を余儀なくさせられる医療機関が出てくることが危惧され、地域医療の崩壊が懸念されるとし、完全義務化の撤廃を求めている。
共同声明では、「地域医療が危機的状況にある中、国は効率化の名のもと一方的に医療費の削減を押しつける目的で、レセプトオンライン請求の完全義務化を強引に推進しようとしている。本来、医療におけるITの活用は、医療の質の向上、医療の安全に資するものでなくてはならない。ところが国は、これらに鑑みることなくレセプト請求を例外なくオンラインに限定し、医療機関に新たな投資と負担を強いようとしている。この施策は、ITを活用することで国民や医療現場によりよい医療や環境を提供しようとするものではなく、強引に行う必然性はまったくない」と主張。
さらに日医の調査では、8・6%の医療機関がこのままでは廃院するしかないと回答しているとの数字を挙げ、「このままレセプトオンライン請求の完全義務化が進められれば、地域に根ざして医療を担ってきた医療機関を撤廃に追い込み、地域医療崩壊に拍車をかけることは明白」との論調を展開した。
こうした背景から3師会では、▽レセプトオンライン請求の完全義務化を撤廃▽レセプトオンライン請求は医療機関等の自主性に委ねる””の2点を声明した。
会見した唐澤祥人日医会長は、「医療分野の電子化を進めることには反対ではない。しかし例外なく義務化すれば、対応できずに廃業する医療機関が出てきて、地域医療の崩壊につながる」と警鐘を鳴らした。児玉孝日薬会長は、「われわれは医薬品情報提供など、医療安全のためのIT化には協力してきた。しかし、今回は事務手続き上のことだ」と述べ、3師会で協調して撤廃を求めていくとした。