公開討論に臨む高井医薬食品局長(左から
2人目)ら幹部
政府の規制改革会議は7日、一般用医薬品(OTC薬)のインターネット販売に関する規制について、厚生労働省と公開討論を行った。規制改革会議は、厚労省が意見募集を行っている「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」で、OTC薬のインターネット販売が第3類薬に限定されることに反発。省令案通り、来年6月に改正薬事法が全面施行となれば、「消費者の利便性が損なわれる」などとして、全てのOTC薬についてネット販売解禁を求めた。これに対し厚労省は、新しい販売制度では「薬剤師や登録販売者などの専門家による対面販売が原則になる」と説明、十分なコミュニケーションを取ることができないネット販売での購入は、情報提供が不要な第3類薬に限定すると譲らなかった。
OTC薬のネット販売について厚労省は、改正薬事法で購入者に対して販売時に書面で情報提供するよう規定されている第1類薬と、書面による情報提供が努力義務になっている第2類薬は、専門家が購入者と直接顔を合わせて行う情報提供や相談応需といった「対面の原則」が担保できない限り認めない方針を示している。そのため規制改革会議側は、第3類薬以外のOTC薬のネット販売を禁止する法的根拠を示すことを求めた。
厚労省側は、今回の改正薬事法では、購入者への安心と安全のため、ネット販売やカタログ通販に限らず、全ての販売形態で専門家の対面による情報提供を求めていることを説明。ネット販売では、対面の原則の担保が難しいとの考えを改めて強調した。
規制改革会議の松井道夫主査(松井証券社長)は、「ネット通販で扱われているOTC薬の6割以上が第2類薬」とし、薬を購入できる店舗が近くにないへき地の高齢者などが、ネット通販を利用している例を挙げ、「この道を閉ざすことについてどう思うか」と、購入者の利便性が損なわれることを問題視した。
これに対し厚労省側は、登録販売者によりコンビニエンスストアなどでも購入できるようになることを挙げ、理解を求めた。
また、会議側の「ネット通販やカタログ通販などで購入したケースで、どれだけの副作用や事故が生じているか」との質問に、厚労省は「副作用が起きた薬の購入ルートまでは把握していない」と答えたが、会議側は「1件も事故を把握していないのに禁止するのは問題だ」と批判した。
討論会終了後の記者会見で規制改革会議の松井主査は、「われわれは政府の一員であり、われわれを説得しない限り、省令には行かないと考えてもらっていい」と述べ、このまま議論が平行線をたどるようであれば、「大臣折衝も視野に入れる」との考えを示した。また、年末にとりまとめる規制改革会議の第3次答申に、ネット販売を盛り込む方針も示した。