日本製薬工業協会は、国際競争力強化のための官民の対話が政府の経済成長戦略大綱に盛り込まれたことから、内閣府に「対話の場」を設置するよう政府に提案していく方針を決めた。産業振興、臨床研究基盤の整備は複数の省庁にまたがることから、首相のリーダーシップの下で、関係各省の大臣が出席して省庁横断的かつ総合的な議論を行い、国家戦略的に施策の推進が図られるような体制をつくっていくことが狙いだ。
製薬協は以前から、医療に関係する制度や政策について、政府と産業側が議論できる「対話の場」の設置を求めてきた。英国やフランスでは、薬に関する政策が政府と産業側の合意に基づいて進められ、対話の場が政策決定に重要な役割を果たしているといわれる。
大綱では「科学技術によるイノベーションを生み出す仕組みの強化」策として、「研究開発の成果を迅速に初期需要創出につなげるための環境整備」が必要との立場から、施策の一つとして「官民の政策対話の場の設置」を盛り込んだ。「医薬品・医療機器産業の国際競争力の強化」策としても、「官民対話を積極的に行う」とし、いずれも2006年度中に実施する計画になっている。
しかし、具体的な取り組みが不明なことから、製薬協は提案という形で働きかけることにより、具体化を促すことにしたもの。優れた研究成果を産業化に結び付けることや、臨床研究環境の改善、医療財政論議では、政府全体の戦略的な議論が必要とし、「対話の場」は内閣府へ設置することが望ましいと判断した。
まだ、具体的な提案内容は煮詰めている段階であり、提案時期も決まっていないが、厚生労働、経済産業、文部科学の各大臣が出席し、最低でも半年に1回程度の開催がなされる方向を想定している。