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医師や病院への対策が急務
日本保険薬局協会(NPhA)の漆畑稔専務理事は10日、都内で講演し、薬局の後発医薬品使用状況の調査をもとに、「後発品使用促進を目的とした診療報酬改定にもかかわらず、後発品使用は進んでいない」と指摘した。特に、病院からの処方せんが主体の会員薬局に対する調査では、後発品に変更可能な処方せん発行が全体の57%と少なく、病院や処方医への対策が必要だと訴えた。
薬局の「調剤率30%」見直し
NPhAでは今年4月、約300の会員薬局と、診療報酬改定の影響を調べるため定点観測している約600の薬局を調査。変更可能な処方せんは、診療所の処方せんが主体の定点観測の薬局では76%と、会員薬局の57%に比べて高かった。
また、変更可能な処方せんのうち、会員薬局で34・7%が、定点観測の薬局で26・1%が実際に変更されて調剤されていた。
さらに漆畑氏は、後発品の備蓄状況についても紹介。定点観測の薬局の場合、後発品の備蓄品目数が4月28日時点の平均で370品目と、診療報酬改定前の1月末の351品目に比べて若干伸びているものの、薬局の経営悪化で総品目数が減少していることを示し、「備蓄医薬品で後発品の占める比率は増えたが、品目数自体は頭打ちになっている」と危機感を示し、積極的推進のためには「500品目程度の後発品備蓄が必要ではないか」とした。
こうした状況から漆畑氏は、「後発品使用促進には、さらなる対策が必要だ」と訴えた。特に、処方医の意識改革の必要性を指摘すると共に、医療機関全体で変更不可としているケースもあるため、医療機関に対しても何らかの対策をとっていかなければならないとした。
薬局の課題としては、後発品使用によって薬剤料の減収に加え、患者への情報提供に手間がかかるなど、薬局調査でも「経営に悪影響」との回答が多いことを挙げ、何らかの対策が必要だと指摘した。さらに、調剤基本料で後発医薬品調剤体制加算の要件である「後発品の調剤率30%」は既に達成している薬局が多く、現状ではそれを超えて推進するインセンティブが働かないため、目標の見直しが求められるとした。
漆畑氏はまた、後発品使用を推進する一方で、新薬の研究開発促進が必要だと強調。新薬開発の環境整備の観点から、「後発品の医療費抑制分は、半分は保険者に返すとしても、半分は新薬開発に回してほしい」と語った。
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