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厚生労働省は12日、政府の規制改革会議が7月2日に公表した「中間とりまとめ」に対する基本的な考え方をまとめた。中間とりまとめの中で、後発医薬品の使用促進策として提案されている「参照価格制度」の導入について厚労省は、「患者の負担増となる」「患者層によっては事実上後発医薬品の使用を強制することになりかねない」などとし、否定的な見解を示した。
規制改革会議の中間とりまとめでは、後発医薬品への需要を喚起する根本策として、先発医薬品の特許期間終了時点において、先発医薬品と後発医薬品の保険償還価格を同一価格とする、参照価格制度の導入を主張している。
これに対し厚労省は、参照価格制度は「先発医薬品の価格が保険償還価格を上回れば、その差額は患者の自己負担になる」と制度上の問題点を指摘。単なる患者の負担増になり、患者層によっては事実上、後発医薬品の使用を強制することにもなりかねないとの認識を示した。
また、ドイツでは参照価格制度の導入により、医薬品産業の競争力が低下した例などを挙げ、「わが国の研究開発型医薬品産業に大きな影響を与える可能性があり、問題が多い」とした。
中間とりまとめで、2011年度末までのドラッグ・ラグ解消が困難になることが予想されると見方を示していることについては、「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略」を策定し、審査人員の増員、治験の実施基準(GCP)の運用改善など、「当該戦略に沿った取り組みを着実に実施することが必要と考えている」ため、「困難とは考えていない」と否定した。
また、ドラッグ・ラグの解消策として、欧米で承認された新薬の国内での審査を大幅に緩和する提案に対しては、安全性の確保の観点から、日本人に対する副作用や使用方法などを十分考慮して承認する必要があるため、審査を大幅に緩和することはできないとの見解を示した。
混合診療の禁止措置撤廃については、「保険診療と保険外診療の併用は一定のルール下で認めていくことが妥当」との考えを示した上で、4月には高度医療評価制度を創設するなど患者ニーズに応える観点から取り組みを進めているとし、「いわゆる混合診療の原則禁止措置の撤廃は多くの患者団体も反対しており、不適当」とした。
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