使いづらいと感じる日用品として、医薬品を指摘する人の多いことが、ユニバーサルデザインフォーラム(UDF)の調査で分かった。説明書が読みにくいという意見が最も多く、容器や包装の使いづらさも挙げられた。特に30代からは、使用しにくい製品を販売している企業を敬遠する声も出ており、企業イメージに影響する恐れも示唆される結果であった。
ユニバーサルデザイン(UD)は体が不自由な人でもそうでない人でも使いやすい製品を指す。UDを推進するUDFは4月、暮らしの中でUDの普及状況などを知るため、首都圏や京阪神に居住する15079歳の一般男女1090人を対象に調査を実施、回答率は51.2%だった。調査は過去にも行われているが、結果の公表は初めて。
使いづらさなど不満経験は、日用品、家電、情報通信機器、住宅設備、公共設備、交通機関などそれぞれで調査され、医薬品は日用品の中で入っている。日用品で「使いづらい・利用しづらい」と感じた人の割合は、文房具・事務用品が31.2%と最も高く、食品・飲料27.3%、台所用品26.2%で、医薬品はそれらに次いで23.7%であった。
医薬品の使いにくさに関する不満に男女差は見られないが、年代が高いほど不満を感じる傾向が強まっており、60代以上は30%以上に上った。「特に不満を感じる」だけをみると、医薬品は10.0%で、食品・飲料、文房具・事務用品に次いでワースト3に入る結果となった。
理由を聞いたところ、年齢に関係なく「説明書が分かりづらい」「用法などを記載している文字があまりにも小さい」「あいまいな説明が多い(何にでも当てはまるような)」「不要な説明が多い」と、説明書の使いにくさを指摘する声が多く挙がった。
60代以上では、「2錠ずつしか切り離せず、携帯に不便」「包装が指で容易に開封しがたい」など、容器や包装に対する不満もみられた。
不満があったことに対する消費者側の意識・行動としては、「(当該企業の)顧客満足への取り組みが不十分だと思う」が55.2%で最も高く、次いで「商品・施設・サービスとして不完全」47.9%、次いで「自分なりに工夫して使用する」43.9%だった。特に30代では「今後は他の企業のものを購入・利用する」「その企業のものは、他のものも購入・利用しなくなる」と、企業自体に好ましくないイメージを抱くような回答が目立った。
今回の調査結果についてUDFは、「ユーザーの評価は次第にシビアになり、商品の詳細な部分まで気にしている。会員以外にも調査結果を今回公表し、広くUDを考えるきっかけにしてほしい」としている。