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会見する日薬幹部
日本薬剤師会(児玉孝会長)は、「医薬品販売等に係る体制および環境整備に関する検討会」が報告書をまとめた4日、緊急記者会見を開き、新販売制度施行に向けた見解を発表した。児玉会長は、改正薬事法の主旨からみて、今回の報告書は「一定の評価はできる」とすると共に、新制度を実効あるものにするためには、会員の理解と協力が不可欠とした。
児玉会長は会見で、今回まとめられた報告書について、「一つひとつ見ていけば、いろいろな見方があるが、根本的な改正の意味からすれば一定の評価ができる。消費者側からの要望にあるように、実効あるものにするため会員に十分説明し、理解を得たい」と述べ、各論についての言及は避けた。
また、店舗管理者は“薬剤師が原則”とされたことには、「厚生労働省が判断したことで残念だが、勝ち負けの話ではない。原則論が既成事実化するまで、薬剤師として努力しなければならない」と指摘した。さらに、新販売制度の実効性を上げるためには対外的なPRも必要として、関連諸団体と連携し啓発活動を行いたいとの意向を示した。
今後の対応に関しては、「第1類薬は薬剤師しか販売できない。新制度がスタートした際に、購入者に満足な情報提供ができないのでは、新制度の意味がなくなる。会員はその辺を理解してほしい。これを乗り越えれば、一般薬販売の中で薬剤師の役割が確立できると思う」とし、実質的に3年間は登録販売者が管理者になり得ないこととも関連して、薬剤師による着実な対応の積み重ねが欠かせないことを強調した。
ただ、一般薬販売に当たって、「現実問題としては個店の場合、一般薬の供給が難しい。卸、メーカーとも供給の話し合いをしていく必要がある。店舗販売業の薬剤師への教育研修などにも協力体制を敷くなど、やれるところからやっていきたい」と述べた。
JACDS”店舗管理者では疑問も
日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の小田兵馬副会長、宗像守事務総長ら幹部は、4日の販売体制検討会終了後に会見し、同検討会報告書に関し、「全体としては、生活者が一般用医薬品に求める?安全性・利便性・効果性?について、三位一体で実現できる内容と高く評価する。現場での実効性をも十分に考慮して、まとめられていると思う。今後は(報告書の内容を)確実に実施し、生活者に有益な制度として運用することが、ドラッグストア業界の責任と考えている」と感想を述べた。
このほか、新販売体制全体については、「(これまで販売制度基準・構造設備基準はあったが)販売者への責任が、厳しく問われることになる。今後、詳細が詰められると思うが、厳格に受け止め、対応していく。さらに今回、第1類薬の薬剤師独占医薬品が確立されたことは、最大の成果といえよう。これにより国民の保健向上、セルフメディケーションは薬剤師に委ねられることになり、今後の薬剤師の権限と責任は極めて高くなる」とした。
報告書の店舗管理者要件をめぐっては、「薬剤師及び登録販売者が行うことができる改正薬事法の原則が担保された」とした一方で、「第1類薬を取り扱う店舗は、薬剤師による管理が原則とされたが、なぜ登録販売者で管理ができないのか、合理的な論拠が示されなかったのは残念。また、薬剤師の管理・指導の下、3カ年の実務経験で第1類薬の管理者になれるということも、なぜそのような必要があるのか。登録販売者の第1類薬取り扱い店舗では、薬剤師の補佐を指定するとされているが、その必要性も疑問」だと指摘した。
その上で、「管理者については、JACDSとして十分に納得が得られたものでないし、勝った負けたの論議ではない。この方向で検討会が決定したということであり、内容を確実に実施していくよう努めていくことが重要だ」(宗像氏)としている。
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