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左から岩崎ファイザー社長、長久ラクオリア
社長、出資者の有一夫エヌ・アイ・エフ
SMBCベンチャーズ社長
ファイザーの中央研究所(愛知県武豊町)が1日付で独立し、研究開発型ベンチャー企業「ラクオリア創薬」(社長長久厚氏)として事業を開始した。3日、ファイザー日本法人の岩崎博充社長、新会社の長久氏らが会見し、その概要などを明らかにした。
新会社は日欧の投資会社とファイザーなどから資金調達を受けると共に、ファイザーから疼痛と消化管疾患を中心とする15の研究開発ポートフォリオや最先端研究ツールなどの知的財産を譲り受け、医薬品の研究開発や開発候補品の導出などを手がけていく。ファーザーが知的財産を導出し、独立した研究開発型企業が創設されるのは初めてのケースで、今後の展開が注目されそうだ。
ラクオリア創薬は、閉鎖されたファイザーの旧中央研究所の社員70人で立ち上げ、自ら新薬の化合物を開発する創薬ベンチャー企業を目指すベンチャー型の企業。主な出資者は、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ(投資額38億円、株式保有比率32%)、英コラーキャピタル(29億円、24%)、ファイザー(22億円、19%)など。
当初の3年間は、探索研究と前臨床開発研究を中心にプロジェクトを展開するほか、405年目にはPOC(臨床効果の検証)までの臨床試験を実施できる組織への拡大を図っていく。
新会社が力を入れるのは「疼痛」と「消化管疾患」の2つ領域で、そのほかファイザーとの契約に基づいて、導入した製品を駆使し、製薬企業各社へのライセンス供与の展開を積極的に進めていく方針だ。新会社は旧ファイザー中央研究所で開発した15の研究開発プログラムを保有しており、海外で上市・申請中の3剤(抗真菌薬「Eraxis」、抗生物質「Zeven」、抗精神薬「Geodon」)の国内開発販売権を所有する。
当面はこれらのライセンスによりアップフロント、マイルストーン、ロイヤルティー収入を収益源とし、その後、開発品のライセンスなどで業績拡大を図り、14年には3億ドル規模を目指したいとしている。
会見したファイザーの岩崎社長は同社との関係について、「株主の一人としてよい関係を築いていきたい。できるなら、他の企業より先に(化合物導出の)話を持ってきてほしい」と述べたほか、長久社長も「305年の資金が調達できた」とし、新会社の業容拡大に意欲を示した。
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