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報告書をまとめた検討会
「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会」は4日、報告書をまとめた。意見が割れていた店舗管理者については、最も副作用リスクの高い第1類薬を販売する店舗では当面、薬剤師とすることで落ち着いた。新制度の要である一般薬のリスクに応じた専門家からの情報提供を徹底させるため、専門家の配置数だけに留まらず、最もリスクの高い第1類薬の陳列はオーバー・ザ・カウンターにすることや、専門家の常時配置、情報提供を行う場所の数に合わせた専門家の確保など、販売体制の規定にまで踏み込む内容となった。これら構造設備基準や販売体制に関する規定は許可要件であることから、違反には許可取り消しや営業停止処分を行うことを求めた。報告書を受け厚生労働省は政省令策定を急ぎ、9月までには告示する方針だ。
新販売制度は2006年6月の改正薬事法に基づくもの。改正前の一般薬販売制度は、1960年に制定されたため実態に合わない面があった。薬剤師がいないまま販売されているケースが問題化する一方で、全ての医薬品で薬剤師が関与しなければならないのかという規制緩和の流れもあった。
それを受け、一般薬を副作用のリスクが高い順に第1類から第3類まで分類。第1類薬の販売は薬剤師が行うが、第2類薬、第3類薬は新しい専門家「登録販売者」も行えるよう、リスクの高い医薬品に重点的に情報提供できるよう見直した。リスク分類は昨年4月に実施、登録販売者試験は8月以降全国で始まる。
新制度は来年度に完全実施となるが、店舗などでの専門家からの情報提供など販売体制については、改正薬事法の運用を規定する省令に委ねられていた。その内容を2月から同検討会が9回にわたり検討してきた。
店舗管理者については、第一類薬の情報提供を行うものが薬剤師であることから、「第1類薬を販売する店舗等の管理者は薬剤師であることを原則とする」と記述。第2類薬、第3類薬を販売する店舗の管理者は登録販売者でもよいとした。
ただ、第1類薬を販売する店舗で薬剤師が管理者とすることができない場合は、一定条件下で登録販売者がなることにも道を開いた。
その一定条件としては、「薬剤師が管理者である店舗等において薬剤師の管理及び指導の下で、登録販売者として一般薬の販売に関する業務を一定期間(3年程度)経験した者を管理者とすることができる」とし、最低でも制度施行から3年程度は、第1類薬を扱う店舗の管理者は薬剤師のみとなった。
陳列・情報提供方法まで踏み込む
店舗内の構成にも言及し、製品はリスク分類ごとに陳列し、第1類薬は販売側のみが手に取ることができる「オーバー・ザ・カウンター」とし、店舗もそれが確保される構造とする。薬剤師がいない場合は、第1類薬の陳列棚を閉鎖するなど、構造設備上も第1類薬を販売できなくする。
第2類薬は「購入者が直接手に取ることができる陳列でよい」としつつも、「オーバー・ザ・カウンター」型の陳列に「努めることが望ましい」とした。第2類薬の中でもリスクの高い「指定第2類」は、専門家の目が届く範囲の棚に陳列することとした。
購入者に対する情報提供の内容・方法では、専門家による対面で行うことを原則とし、添付文書の内容を基本に行うと共に、添付文書の保存や併用禁止薬剤、症状が改善しない場合の相談対応、健康被害救済制度の情報を提供することとした。第1類薬は書面を用いて行い、▽販売名▽成分・分量▽効能効果▽用法用量▽服用禁止者等の使用上の注意事項””などを提供することとした。
一方で、国民から見ても分かりやすい制度にするため、医薬品の容器や外箱には、第1類薬などリスク分類を明記させ、添付文書への記載も求めた。店舗内にも新制度を説明する掲示を行うこととした。
そのほか、ITを活用した販売も報告書に盛り込んだ。一部実施されてきたテレビ電話を活用した販売については、新制度が定着するまで3年程度は第2類薬、第3類薬の販売を認めるものの、それ以降は認めない方向を打ち出した。
通信販売は薬局、店舗販売業者が行うことを前提に、通信販売を行う旨を都道府県に届け出させることを提案した。販売できる品目については、「販売時の情報提供に関する規定がない第3類薬を販売することを認めることが適当」とした。
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