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会見に臨むワーナー社長
アボットジャパン医薬品事業部のグレン・ワーナー社長は17日、都内で記者会見し、日本市場に新投入したヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」について、「ピーク時に売上高は3億ドル(約324億円)、日本の薬価ベースで5億ドル(約535億円)を超える」との見通しを明らかにし、強い期待感を表明した。その上で、ワーナー氏は「医薬品事業部の売上高は、2年以内に目標の10億ドル(約1080億円)を達成できるだろう」と述べ、日本での成長に自信を示した。「ヒュミラ」は今日18日から発売する。
アボットジャパン医薬品事業部の2007年度売上高は、8億8000万ドル(約950億円)。これを2年以内に10億ドル(約1080億円)まで成長させることを目標に掲げる。そのカギを握るのが、新発売した関節リウマチ治療薬「ヒュミラ」で、ワーナー氏も「日本でのビジネスを変革する大きなイベント」と期待を隠さない。
ヒュミラの国内販売は、共同開発を行ってきたエーザイとの協力体制で進めていく。1ブランド1チャネル方式で、エーザイの販売システムを使用する。ワーナー氏は、「両社でヒュミラ専門のMRを配置し、MRを増員することで、(生物学的製剤の)レミケード、エンブレル、アクテムラと競争していきたい」との考えを示した。
現在、日本の生物学的製剤市場は、50%以上の驚異的な成長を見せており、500億円を超える市場とも言われている。ワーナー氏は「ヒュミラは市場の成長を取り込むいいポジションにいる」と述べ、市場シェアの獲得に強い意欲を示した。
さらに、国内では2012年にかけて、ヒュミラの適応拡大が続々と予定されている。乾癬の適応で09年前半に承認が見込まれるのをはじめ、09年9月にクローン病、10年7月に強直性脊椎炎(AS)、11年4月には若年性関節リウマチ(JRA)の適応で、それぞれ申請を予定している。潰瘍性大腸炎(UC)の適応に関しては、08年第4四半期に第III相試験を開始し、11年5月の申請を予定している。
ワーナー氏は、「今後5年間にわたって、毎年新しい適応症が追加されていくことになる」と、ヒュミラの成長に自信を示し、「全ての適応を取得したピーク時の売上高は3億ドル(約324億円)、日本の薬価ベースでは5億ドル(約535億円)を超える」との見通しを明らかにした。そのうち3分の2は、関節リウマチの適応になるという。
一方、抗癌剤の開発パイプラインで注目されるのは、ジェネンテックと共同開発中のチロシンキナーゼ阻害剤「ABT‐869」、Bcl‐2蛋白阻害剤「ABT‐263」の2品目。国内では第I相段階にある。ワーナー氏は、これら2品目について、ピボタル国際共同第III相試験に参加していく計画を明らかにした。その上で、「われわれにとって初めてグローバル試験に参加することになる。日本のドラッグ・ラグを解消するため、これら2製品をタイムリーに投入したい」と語った。