経済産業省は、個人の診療・健康診断の情報を、本人が自由に入手できる体制づくりに向け、情報交換技術の標準化などについて、医療機関や企業の参加を得て、実証的に詰める事業を今夏にも着手する方針だ。304地域で2010年度までの3年かけて行う。現在、事業に参加する医療機関や保険者、企業の募集が、管理団体となったITシステムのアクセンチュアを通じて行われている。
政府のIT戦略本部は、06年1月にまとめた「IT新改革戦略」で、10年度までに「個人の健康情報を『生涯通じて』活用できる基盤をつくる」という目標を掲げている。
個人が医療機関から医療や健康に関する情報を入手し、健康の自己管理に役立てたり、情報を医療機関や薬局などに提示し、自らに合った医療を受けられるようにするのが狙い。
また、同省としては、個人の了承を得てこれら情報を、医療機関ばかりでなく民間事業者等でも共有し、より効果的な健康サービスを提供できるようにする構想も持っており、新しい健康サービス産業の発展につなげることも視野にある。
構想の実現には、情報交換技術の標準化などが必要なことから、同省商務情報政策局は「健康情報活用基盤構築のための標準化及び実証事業」を今年度から始めることにし、今年度は2・9億円の予算を用意。3カ年で約7億円が投入される見込み。
事業には、医療機関、保険者、健康サービス事業者、健康機器メーカーなど健康情報を持ち、活用できる一連の流れを実際に行える関係者の参加を予定する。今月11日まで参加を募っている(募集要綱はアクセンチュアのHP:https://microsite.accenture.com/meti/Pages/invitation.aspx)。3日には、東京・赤坂のアクセンチュアで募集説明会を行う。
構想を実現に向け、医療機関の診療情報の外部保存などの実証を進める厚生労働省、情報の漏洩防止などセキュリティの確保などの実証を進める総務省も動いている。経産省としては、各省の事業と連携し、同じ地域で総合的に実証できるようにしたいとしている。
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