政府の経済財政諮問会議が開かれ、6月26日の素案段階で積み残しとなっていた歳入改革を盛り込んだ「骨太の方針」の最終版(原案)を了承した。焦点の消費税については「社会保障財源の選択肢の一つ」と明記するにとどめた。政府は最終調整を行い、7日にも閣議決定する見通しだ。
示された原案は、[1]日本経済の現状と今後の課題[2]成長力・競争力を強化する取り組み[3]財政健全化への取り組み[4]安全・安心の確保と柔軟で多様な社会の実現[5]2007年度予算における基本的な考え方――で構成され、優先課題として「成長力・競争力強化」「財政健全化」「安全・安心で柔軟かつ多様な社会の実現」の3点を挙げた。
社会保障制度に関しては、総合的な改革の必要性を指摘し、一体的な見直しを求めると共に、社会保障番号の導入や社会保障個人会計(仮称)についても、個人に対する給付と負担の情報提供を通じて、国民に分かりやすい制度にする観点から、検討を進めていくことを盛り込んだ。
医療関係では、医療制度改革の着実な実施と小児科・産科等の診療科や地域における医師偏在への対応、夜間・救急医療提供体制の整備、看護職員の確保や教育のあり方の検討など、医療提供体制の整備を求めている。
さらに、▽生活習慣病対策、長期入院の是正など、実効ある医療費適正化方策を国、都道府県及び保険者が共同して計画的に推進していくこと▽医療サービスの標準化▽レセプト完全オンライン化等のIT化推進▽包括化・定額払いの拡大など診療報酬体系の見直し▽保険者機能の強化▽終末期医療のあり方検討――など、医療サービスの質向上や効率化の推進も明記された。
このほか“健康寿命”を延伸するため、健康フロンティア戦略やライフサイエンス研究をさらに推進するとした。癌に対しては、がん対策基本法に基づく癌対策推進基本計画の作成、予防・早期発見、医療の均てん化、研究の推進が盛られた。医薬品・医療機器に関しても、承認の迅速化、市販後安全対策の充実、後発医薬品市場の育成を図る方向が示された。