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第一三共の庄田隆社長は14日に開いた決算説明会で、2008年度について、「飛躍の前の一屈(いっくつ)の年になる」と述べ、積極的な投資で、基盤強化の1年としたい考えを明らかにした。研究開発投資の増加や、欧米での新製品発売を控えた先行投資が増えるため、09年3月期決算は減収減益決算の見通しだが、庄田社長は「成長のために必要不可欠な投資」だとの認識を示した。
09年3月期決算予想では、営業などの各利益が2桁減になる見通し。研究開発プロジェクトの進展による開発費の増加や、欧米での新製品発売に向けた先行投資が拡大し、総経費が257億円増加するのが減益の主要因。
庄田社長は、中長期の成長を支えるには、新薬開発の促進と戦略的基盤の強化は必要不可欠とし、投資を通じて、業容拡大を目指す考えを表明した。
今後の経営方針としては、▽プラスグレルをはじめとした新製品の万全な上市対応と市場浸透▽日本におけるクロスワイズ体制のさらなる進展▽海外におけるセールスフォース拡充による主要品目の売上拡大‐‐の推進を掲げた。また、研究開発分野に関しても、▽ポートフォリオマネジメント機能の強化による選択と集中の徹底▽癌領域の事業開発推進、抗体医薬の研究基盤の強化‐‐に引き続き取り組んでいくとした。
特に、施設担当と領域担当のMRを各地に配置し、両担当者が有機的に連携して質の高い情報を提供するすることを狙ったクロスワイズ体制について、庄田社長は「国内営業は成長シナジーを顕在化しきれなかった」と分析。営業体制を改善して、効率的な情報提供と処方拡大を目指す方針を示した。
研究開発に関しては、大型化が期待され、日米欧で11年の承認申請を目指していた糖尿病治療薬リボグリタゾンを取り上げ、「取り巻く環境は依然として厳しい」と指摘。その上で、同種同効品の特許切れや市場環境の変化を踏まえ、事業性の再評価を行うとした。
また、臨床試験後期の開発品が不足している癌領域も課題だとし、他社がM&Aを積極的に進めている状況を踏まえ、「われわれも、あらゆる可能性を検討している」と述べ、M&Aも選択肢の一つとの認識を示した。