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国内主要製薬企業の2008年3月期決算(連結)が、15日までに出揃った。売上高上位の大手4社を見ると、各社とも主力のグローバル製品が成長ドライバーとなり、北米を中心に海外で売上を大きく伸ばした。大手の海外依存はさらに加速しており、エーザイを除く3社は海外売上高比率が50%を超えた。しかし一方で、「2010年問題」を目前に控え、大型買収に動いた武田薬品とエーザイは研究開発費の圧迫に苦しみ、武田薬品は16年ぶりの減益、エーザイは赤字に転落した。グローバル化を至上命題とする大手各社にとって、研究開発投資が業績を大きく左右する状況になってきた。
売上高を見ると、第一三共が欧米子会社の決算期変更の影響で5・3%の減収となったものの、医薬品事業は実質的に0・4%の増収。特に海外では、グローバル製品のAII受容体拮抗剤「オルメテック」、抗菌剤「クラビット」が順調に推移し、4・3%増と好調を維持している。営業利益は、積極的な研究開発投資を経営統合シナジーと売上拡大で吸収し、二桁の増益となった。
アステラス製薬も免疫抑制剤「プログラフ」、過活動膀胱治療剤「ベシケア」の主力2製品が海外で二桁成長を達成。売上高は5・6%増、海外では8・8%増の高い伸びを示し、営業利益は44・8%の増益。導入一時金を計上した前期に比べ、研究開発費の大幅減が利益を押し上げた。
しかし、大型買収に動いた武田とエーザイは、売上高こそグローバル製品の伸長で増収を確保したものの、利益面では、巨額な研究開発投資の影響が如実に反映された。
国内トップの武田は、グローバル製品の糖尿病治療薬「アクトス」が業績を押し上げ、5・3%の増収となったが、米アムジェンの日本法人買収を筆頭に、相次ぐ導入活動で研究開発費が膨らみ、16年ぶりに減益。ひた走ってきた成長路線がストップした。さらに、来期も米ミレニアムの買収費用8800億円が重い負担となり、大幅減益となる。
エーザイも、主力グローバル製品のアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」が好調で、売上高は8・9%増と二桁近い成長を遂げた一方で、米MGIファーマの買収に伴うインプロセス研究開発費が利益を大きく圧迫し、83・1%の大幅減益となっただけでなく、最終利益も170億円の赤字に転落。エーザイ初の赤字を計上するほどの研究開発費を投じた格好だ。
07年度業績を見ると、主力のブロックバスターが海外で売上を伸ばし、成長を牽引する構図は上位4社とも同じ。しかし、大型買収に動いた2社は、巨額の研究開発費を計上して利益を圧迫し、減益や赤字に見舞われた。
来期も上位4社中2社が減収予想、2社が減益予想と、好調にブレーキがかかる見込みで、さらに研究開発費が業績を左右する大きな焦点になってくるのは確実な情勢だ。
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