透析治療用ヘパリンナトリウム製剤では50%以上のシェアを持つ扶桑薬品が製造販売する「ヘパリンナトリウム注『フソー』」と「ヘパリンNa透析用200単位/mLシリンジ20mL『フソー』」「同250単位」が、自主回収となった。米国でのヘパリン副作用問題で原薬中(精製ヘパリン)から検出されたヘパリン様物質が、扶桑製品が用いた原薬中からも微量ながら検出されたため。既に一部は医療現場で使用されていたという。ただ、納入医療機関からの副作用の増加などの報告はないとしている。
扶桑は、米国で副作用が起きた米SPL社製の原薬を使っていたため3月に自主回収。その後、もう一つの原薬ルートである米セルサス社製の原薬を用いて36万本余りを製剤化し、うち23万本余りを4月初旬に出荷。1237施設に納入していた。
出荷前の試験検査では、異常なしと判定されていた。検査結果を再評価したところ、当初ノイズと思われたデータから微量の混入が認められることを1日に確認。2日から自主回収を始めた。
扶桑は、透析治療用ヘパリンでは50%以上のシェアを持ち、回収は医療への影響が大きい。そのため代替品として、異物が検出されておらず、厚生労働省医薬食品局も副作用に注意し、患者の同意を得つつ使用を認めている3月に自主回収した製品を充てる。
ただ扶桑によると、代替に充てる米SPLの原薬を用いた製品の供給量は数カ月分といい、セルサス社製の原薬も年間契約量からすると半年以内に底をつくという。セルサス社への増産要請、他の原薬ルート確保も検討段階にとどまっている。
医療機関への供給不安が出てきそうだが、供給状況を把握に動いている厚生労働省医政局経済課は7日、他社が増産に急いでおり、供給に不安は出ないとしている。医薬食品局も今回の件で新たな対策を行うことはないとしている。
なお、米国で副作用の急増が認められた製剤の原薬で確認された異物の割合は5020%とされるのに対し、今回の検出量は約0・2%という。異物と副作用との因果関係は確認されていない。米セルサスの原料の原材料も中国産という。
自主回収対象製品と製造番号は次のとおり。
「ヘパリンナトリウム注『フソー』」:1万単位=08C13C、08C25C。5万単位=08C21N、08C25N。10万単位=08C14N、08C24N、08C26N
「ヘパリンNa透析用200単位/mLシリンジ20mL『フソー』」:80307A、80308A、80311A、80312A、80315A、80316A、80403A、80404A、80407A
「ヘパリンNa透析用250単位/mLシリンジ20mL『フソー』」:80305A、80306A、80309A、80310A、80313A、80314A、80401A、80402A、80405A、80406A
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